第四章 『アベンチュレッセンス』

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「青鷹君……香水つけてる?」  突然違う話題に顔を上げると、ちせはまだ下を向いていた。 「香水……? つけてない」 「なんか、近付くと好きな香りが……すごくて。香水、つけてないんだ」  ビックリしてすぐにニットの首元を嗅いでも、洋服っぽそうな匂いしかしない。 「……好きな、香り?」  俯いて頷くちせは、笑っていない。 「アイス食べた日も、同じ香りがしてた」  あの日は仕事帰り、職員専用のシャワーを浴びただけで、ちせが良いって思うような香りなどしていたはずがない。
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