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「ありゃ、人間じゃない」
ファーレインの中の、彼が言った。はたから見れば、ファーレインが独り言を言ったようにしか見えなかったろう。
奥の壁に小さな窓、後はベッドと文机しかないこじんまりした部屋に下がったファーレインは、少年の事を思い浮かべる。
人ではない。やはりそうか。
―ああ。
彼が、中で答えた。
―手を出す必要は無い。あいつはまだ、何もしてない。
彼が、言った。
―俺もそうだからな。
ファーレインは、溜息をついて、苦々しく微笑む。
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