1.ファーレイン

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「失礼致します」 ファーレインは、そう言って、アルバール司祭の部屋の扉を開けた。  司祭は、自分の事務机の椅子に座ったまま、ファーレインに体を向けた。  ファーレインは、司祭の前に置かれた椅子を勧められ、大人しく座る。司祭の部屋は、ファーレインが借りている部屋を少し広くした程度の広さだった為、男二人が座っただけで、かなり窮屈だった。  司祭は、四十くらいの、頭髪の薄い男だった。笑い皺の印象的な、気さくな人物だ。 「来て頂いて、助かります」 司祭は、年下で職階が下の助祭であるファーレインに敬意を表した。  ファーレインは、顔を引き締めると、敬語表現に舌を噛みそうになりながら、切り出す。 「クライセン司教から、大まかな話は伺っていますが、詳細を聞かせて頂けますか?」
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