1.ファーレイン

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 司祭は、教区の信者に対し、罪の告白を聞いたり、そこまで行かずとも身の回りの相談に乗るなどしている。  教会には身寄りのない子供を養育する仕組みもある。また信者の問題の解決の為、争いの仲裁、傷病の手当などを無償ですることもある。  これらの一環として、信者の心身に巣食ったを祓う事もある。普通は問題なく祓える。だが、時に、相手が全く異質で、手に負えない事がある。こういった状況で呼ばれるのが、ファーレインの様な者たちだ。  ファーレインの様な、一種、遊軍の様な存在は、わざわざ公にはされていない。教区の司祭や司教の権威を守る為、と言うのが主な理由である。例えば争いの仲裁が必要な時、相談事に助言を与えようとする時、人は権威の無い者又は信を置けない者に何を言われても聞く耳を持たない。これでは、司祭たちは自分の務めを果たすことが出来ない。  つまり、司祭たちにとって、ファーレインの様な者は、信者の為には有難くもあり、かつ厄介な存在でもあった。    教会のやり方では祓う事が出来ない悪を祓う者・・。どう考えても、まともな人間ではない。従って、正式な役職名も無い。内部では、面白がって悪魔祓い師、祓魔師、などと呼ぶ者もいた。
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