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女の館の背後は鬱蒼とした森だった。一方、館の前を伸びる道は、馬車が左右に一台づつすれ違える程の道幅があった。この道は、街道へと繋がる。かつての領主が整備したと思われた。
今、この辺りに人の気配は無い。そもそも、この館の中に人はいない。
「かなり臭うな」
ファーレインの中の彼が、言った。
「例の女の臭いか?」
「恐らくは。気の毒に。みんな、奴の毒牙にかかっちまった」
ファーレインは、言葉の意味を問わず、目つきを鋭くした。
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