発見

1/3
前へ
/3ページ
次へ
 気が付くと、目の前に血みどろで倒れている自分がいた。  そこはアパートの下にある花壇だった。俺の頭は花壇のブロックにかち割られていた。  Yシャツの襟に赤い血が染みている。  夕刻。  西日が、俺の身体を朱く染めている。  それを見下ろしている、俺。    俺の身体は動かない。目の前のこれは死体で、俺は幽霊らしい。    俺は上を見上げた。  アパートの上の部屋から落ちたようだ。  落ちた・・。本当に?    気が付くと、俺は自分の部屋にいた。  幽霊だから、意識を集中させただけで、そこに行けるようだ。  窓際に、俺の字で、宿題に使うような原稿用紙に書かれた文書を発見した。紙がぐしゃぐしゃで、字も殴り書きだが間違いなく自分の字だ。  もういやだ  生きててもつらいだけだ  死にたい  つぐなわせてやる。あいつらに。  じぶんのしたこと。後悔させてやる。罪悪感を感じろ。一生後悔しろ。  そう書いてあった。  頭を打った所為か、筆跡は分かるのに、肝心な事は覚えていない。  俺、いじめられてたのか?  死んだとはいえ、それを忘れるなんて・・。ごめん、俺。  自殺したのか。俺。  やがて俺の死体は発見され、救急車、パトカーがやって来た。  霊安室で、母が俺にすがりついて泣いた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加