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「ううん、待ってない」
嘘をついた。
私の汗だくの服を見れば、きっと誰でも嘘だと気づけただろう。
でも、望くんは「よかった」と言いながら、私の汗にまみれた手を取った。
「えっ!?」
私は咄嗟に手をはらった。
「ごめん、嫌だった?」
望くんは、申し訳なさそうな顔で私に尋ねた。
「ちがっ……汗が……」
「汗?」
「私の手、汗がいっぱいで……」
「あ、そういうことね」
望くんにようやく意図が伝わってすぐ、再び望くんは私の手を取った。
「えっ!?」
「とりあえず、中入ろう」
「ちょっと……待って!」
望くんは、そのまま汗まみれの私の手を握ったまま、ショッピングモールへと私を連れて行った。
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