lista nera

1/2
前へ
/2ページ
次へ
新生歴が生まれる遥か昔。 かつて、その門は閉ざされていた。 封じられ、飾られただけの門 通称 《Hölle(ヘレ)》。 だが、ある時。 このような噂が流れた。 ーー【Hölleに触れながら 願いを言えば、全て叶う】とーー それを聞いた者たちは 己が欲のまま その門に触れ、願いを口にした。 すると 門が開き、そこから現れたのは 人では無い何かであった。 角がある者、 牙の鋭い者、 羽の生えた生物など 様々な者がそこから現れ、 彼等はこう口にする。 【望みは何だ?】と 人々はその容姿に怯えながらも 各々の願いを口にする。 彼等は人々の願いを叶え、 それに歓喜する人々。 感謝を口々にすれば、 彼等は嗤う。 【して、対価は?】と 人間達は知らなかった。 Hölle(ヘレ)が何であるのかを。 人間達は知らなかった。 自身達が住む世界以外にも 世界……ーーー異界と呼ばれる場所があることを。 彼等ーーー、魔なるモノ達が 無償で願いを聴くなぞありえはしないだろう。 各々の願いの対価を知り、 己が無知を嘆く者、 己が願いの取り消しを望む者、 ただ絶望する者…… だが、 人々の絶望はこれで終わりではなかった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加