理不尽な要求

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理不尽な要求

 ある日フロンティアに役人がやってきた。 「お前たちは勝手に公有地に入植して居座るsquatter(スクォッター)(無断居住者)だ! お前たちの選択肢は2つ。税金を収めるか、さもなければこの土地から出ていくかだ!」  開拓民の代表・アグリはこれに抗議した。 「待ってくれ! この土地を開拓したのは俺たちだ!」 「勝手に公有地を掘り返しておいて、住む権利を主張されても困る。ここは我が国の領地だ!」 「我々は日々の糧を手に入れるのに精一杯で、とても税金など払えない。」 「だったら出て行くしかないだろう?」 「ここを出たら我々は今度こそ飢え死にしてしまう!」 「それならば、一番健康で力のある若者を一人徴兵する。それで税は免除してやろう」 「徴兵……だと!?」  開拓民たちは顔をしかめた。 このフロンティアにおいて一番健康で力のある若者といえば、レイを置いて他には居なかった。
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