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立ち上がる民衆
祠の中では時間軸が異なっていたらしく、フロンティアではレイとサワが居なくなって二年の月日が流れていた。
開拓民の代表・アグリは、近隣の同じ境遇の団体と結束して既成事実を盾に安く土地を払い下げるよう政府に要求した。
彼らの圧力はしだいに公有地政策を自由化の方向に向かわせ、ついには自営農地法の成立を政府に認めさせた。
正式に住む土地を得た開拓の民は手を取りみんなで協力して効率化を推し進めた。
バロック小屋が共同住宅に進化するころ、フラリと帰ってきたサワとレイに開拓民たちは歓喜した。
「生きていたのか二人共!」
サワとレイを取り囲んだ開拓民たちは、二人を連れてアグリの家へと移動した。
「レイ。俺は代表として何もせず、お前に全ての犠牲を押し付けた。そればかりかお前を探すサワを助けることすらしなかった。本当にすまなかった。」
アグリはサワとレイに頭を下げた。
「皆のために尽力しこの土地を手に入れたあなたは、誇り高き俺達の代表だ。」
レイはそう言ってアグリの手を取った。
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