自然との調和

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自然との調和

 レイは感受性の豊かな子供だった。 その日の食べ物にも窮するフロンティアにあっても、その才能は輝きを失うものではなかった。  レイがまだ幼い頃、サワはベッドサイドに腰掛けて毎晩同じ歌を口ずさんだ。それはレイの父親が愛した歌だった。 「♪Are you going to Scarborough Fair? Parsley, sage, rosemary and thyme, Remember me to one who lives there, For she once was a true love of mine」  雨だれのようなサワの歌を聞きながら、幼いレイは眠りに落ちた。  幼児期のレイは荒野を駆ける子鹿だった。風とともに走り、岩だらけのフィールドを飛び回った。  転んでけがをするたびに、レイは強くなっていった。  少年になったレイはサワを助けて簡単な仕事をこなすようになった。  牛を追い、花を愛で、星を数え、雨を祝う。  レイは自然に溶け込み自然の一部であることを喜んだ。    やがてレイは青年になった。  しなやかな肢体で荒れた大地を耕し種を蒔く。  夕日が地平線に沈むさまを丘の上から眺めるレイは、いつしか部落を背負う存在になっていった。 ♪ スカボロー・フェア (Scarborough Fair)
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