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母の歌
「お前の幸せを望むのなら、このまま雨の精にお前を委ねるべきなのかもしれない。でも臆病で身勝手な私は、愛するお前を失うのが怖いのよ!」
ハラハラと溢れる涙はレイの胸に落ちる。
「そばにいるのが当たり前だと思っていた。お前の成長に気づきもしないでいたバチが当たったのかもしれない。
お前はこんなにも立派に育っていたというのに、いつまでも私の腕の中で眠る子供のままでいると思っていた。」
そう言ってサワはレイが幼い頃歌って聞かせていた歌を口ずさんだ。
「♪Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Remember me to one who lives there,
For she once was a true love of mine」
祠の中に雨音のようなサワの歌声が響いた。
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