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「チイ。何してるの?」
「ヒクル! 会いたかった」
「僕もだよ。濡れるから傘のしたへお入り」
「うん。ありがとう」
ヒクルは傘を差し出して、チイをその中へ入れた。二人はしゃがんで、肩を寄せ合った。
ヒクルの白い髪が星の光に照らされて青く光っている。
「どうして私がいるって分かったの?」
「たまたま外へ出ていたら、チイの声がしたから」
「そうなんだ」
「チイはどうしてこんなところに?」
ヒクルの質問にチイは少し黙った。
「……お父さんとケンカしちゃった」
「そうだったのか。それはつらいね」
「うん。うちにはお父さんしかいないから、居場所がなくなっちゃった」
チイが落ち込みながらそういうと、ヒクルが驚いた声をあげた。
「チイもお母さんがいないんだ! 実は僕もさ」
「えっ」
「うん。生まれたときから、お父さんと二人暮らしなんだ」
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