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チイはびっくりした。自分と同じ境遇の子に出会ったのははじめてだ。
「お互い、大変だね」
「うん。ヒクルのお父さんはどんな人なの?」
「普段は優しいけど、おこると怖い人だよ」
「じゃあ私のお父さんとちょっと違うね」
「チイのお父さんはどんな人?」
「普段は頼りないけど、本当は優しいお父さん」
「そうなんだ」
それからチイはヒクルにお父さんの愚痴をたくさん聞いてもらった。ヒクルは頷きながら、ときどき同意してくれた。
「チイの話を聞いてると、チイって本当にお父さんが大好きなんだなーって思うよ」
「えー! こんな愚痴ばっかりなのに」
「うん。でもそれって、好きだからこその愚痴だと思うよ」
いつの間にか、雨はあがっていた。チイはまたお父さんに会いたくなった。
「ヒクル。今日は話を聞いてくれてありがとう」
「こちらこそ。チイにあえてよかった」
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