ヒマワリの星

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 この星の夏は短い。  チイがヒマワリは一日で育つけど、一日で枯れると知ったのは、そんな短い夏が終わりはじめたころだった。  チイはベランダから、だんだんと枯れていくヒマワリ畑を見ていた。 「チイ。この前は悪かった」  お父さんが悲しそうにしているチイを見てそういった。 「いいよ。もう気にしてないもん」 「そうか。ならよかった」 「私こそ、ごめんね」  チイが謝ると、お父さんは優しく抱きしめてくれた。それから肩に手を当てて、ヒマワリ畑を一緒にみつめた。 「次の仕事が決まったんだ。冬になる前にこの星を離れる」 「えー、また? この星、結構気に入っていたのに」  チイはヒクルのことを考えた。せっかく仲良くなったのに。 「チイ。夏が終わると、この星には人が住めなくなるんだ。冬と夏の気温差は200℃を超える。あっという間にこの家もヒマワリ畑も氷漬けになるんだ」 「じゃあ、みんなこの星を出ていくんだね」 「そうだ」
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