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ヒマワリ畑の跡地に、古い宇宙船の残骸が横たわっているのをチイは見つけた。
その船は遥か何百年も昔の、宇宙開拓時代の船のようだった。
「あのヒマワリ畑は、この廃船のうえに広がっていたのか」
チイのとなりで、お父さんがそういった。
「ヒクル……」
遠くなっていく船の残骸をみつめていたチイは、錆びた船の腹のうえで、豆粒くらいのヒクルが手を振っているのが見えた気がした。
(あなたのこと、絶対に忘れないから)
ヒクルが最後にくれたヒマワリの花を、チイは胸のまえで優しく握る。
お日様のにおいがする美しい花は、まだ枯れていなかった。
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