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風の音だけがするところまで、来てしまった。お父さんの姿は見えない。
「あれ? お父さん、どこ?」
チイは少し怖くなって声を上げた。
「お父さん!」
しかし返事はない。
「おとうさーん!」
ただ風の音がして、ヒマワリが揺れた。このままじゃ、帰れなくなるかもしれない。
するとチイの後ろから声がした。
「どうしたの?」
「だれ?」
振り向くとそこには、チイと同じくらいの男の子が立っている。
「帰れなくなったの?」
男の子は白い髪が目にかかっていた。少し怖い感じだったが、声の響きは優しい。
「うん」
「僕についてきて」
男の子はそういうと、ヒマワリのなかをかき分けるようにして歩き出した。
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