S   61

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S   61

 絡め合っている翠里の舌の動きが止まった。唇も開いたまま動かない。  寝落ちたな。  ちゅっと唇を離して、身体の下の翠里を眺めた。  2人分の精液で汚れた細い身体が、やたら(なまめ)かしく見える。  まあ、寝落ちてよかった、な…  翠里が起きてたら、これ以上のことがしたいのが我慢できなくなってた。  欲深すぎ…俺  苦い笑いを噛み締めながら、翠里の身体を軽く拭いてやって、スマホで時間を確かめた。  まだ帰ってこねぇな、翠里の親。  さっと服を着て、洗面所に向かった。タオルを一枚借りて水で濡らす。  部屋に戻って翠里の身体を改めて綺麗に拭いてやった。翠里はもうぐっすり眠ってて、すぅすぅ寝息を立ててる。  ここ、触っても平気…かな?  ふにゃっとなった性器も丁寧に拭いてやると、さすがにぴくぴくと反応した。 「…ん…あ…、し、ん…」  うわ…、あ、寝言か…  ドキドキしながら翠里を見下ろした。  大丈夫かな? もう綺麗になった?  全部拭けたか確認してるだけ、って自分に言い訳しながら翠里の身体に触れる。細い脚を撫でて、膝を立てさせた。  その膝を開かせようとして、やめた。  ベッドの下に落ちていた翠里の下着を取って履かせてやる。スウェットのパンツも履かせて、パーカーも着せた。  ふぅ、とため息をついて、また翠里を見下ろしながら、自分の身体も服をめくってサッと拭いた。  タオルを洗って、どうしようかと見渡したら、ハンガーがあったから借りて、翠里の部屋のカーテンレールにかけておいた。  なんで濡れタオルが?って思われんのが嫌、っていうか怖かった。  友達として仲がいいのは歓迎されても、恋人になるのは受け入れられない、っていう可能性は十分すぎるぐらいある。ていうか、その方が一般的だと思う。  今のこの、自由に行き来できて、いつでもお互いの部屋に泊まれるっていう関係を壊したくない。  親にはバレないようにしとかねぇとな…  翠里を少し壁側に寄せて、その隣に横になった。薄めの掛け布団を引っ張り上げて一緒にかけて、翠里の首の下に腕を通してぎゅうっと抱きしめる。 「…んー…、しんー…」  翠里が俺のTシャツを掴んだ。  かーわいー…  汗で少し湿った髪を梳いてキスをする。    わっ  脚、のっかってきた。  俺の脚に脚を絡めて、翠里がきゅうってくっついてくる。  そうだよな、翠里、俺のこと大好きだもんなー  なんて思いながら、細い身体を抱きしめて額に口付けた。    あー 俺やばい  くすくす笑いが込み上げてくる。  腕の中の翠里は、俺にくっついて規則正しい寝息を立てている。  もうほんと、めちゃくちゃ可愛いな  その可愛らしい寝息を聞きながら目を閉じると、すぐに眠りに落ちる前の身体が回転するような浮遊感が訪れた。  夢の中でも翠里といたい。    そんな、やっぱり欲張りなことを考えながら、俺はふわっと意識を手放した。
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