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M 63
ちゅっちゅってキスしながら、慎が体勢を変えてオレに覆い被さってくる。
広い背中に手を這わせて、唇を開いて慎の舌を迎え入れた。
キス、だいすき
気持ちいい
ひとしきりキスを交わして、唇を離して見つめ合った。
慎が笑ってるから、オレも笑う。
だいすき、慎
オレをぎゅうっと抱きしめた慎が、そのままごろんと寝転んで、オレは慎の身体の上に乗せられてしまった。
「ね、翠里。今日、花火買いに行こっか」
慎がオレの頬を優しく撫でる。
「2人っきりで部屋にいるとやばい…。親が家にいるのに我慢できなくなりそう」
おっきな手が、背中を撫で下ろしていく。
「…あ…っ」
おしり、撫でられた…っ
「…かわいー声…」
「もぉ! 慎ー!」
慎を見下ろして睨んだのに、慎は相変わらず笑ってる。
「やっぱ怒ってても可愛いなぁ、翠里は」
伸びてきた腕にあっさり抱きしめられて、慎の胸に頬を寄せた。
「慎ん家は、ゴールデンウィークはこの後どうなんだっけ?」
「うちは次の日曜まで2人とも休み」
「…うちも…」
親の休みを残念に思う日が来るとは思ってなかった。
「昨夜みたいのは我慢、だな。バレたらマズいし」
慎が、少し腕に力を込めてオレを抱きしめた。
「…うん…」
オレも慎のTシャツをぎゅっと握った。
「絶対反対されるって決まってるわけじゃないけど、もし反対されて、泊まったりすんのダメとか言われたくねぇし…」
慎の声、ちょっと低くて真剣な感じ。
「うん…。泊まれなくなんのはやだ」
一緒に寝たい。
「まあでも、他は大丈夫だろ。元からべたべたしてたし」
あれ?
「…もしかして、わざとしてた?」
べたべた
「ん? ああ。でもこのためじゃねーよ? 単に触りたかっただけ。好きだから」
「え…っ」
そんなはっきり…っ
「そりゃそうだろ、触りたいだろ。好きなんだから。翠里は違うの?」
真面目な声で訊かれて言葉に詰まった。
「え…っと…。…うん、さわりたい…し…」
ドキドキ、してきちゃう
「ん?」
ちょっと顔を上げて、慎を見つめた。
「…さわられたい…」
「…っ」
今、慎の腹筋、キュってなった。
はぁー…って、慎がため息をつく。
「…翠里ってさぁ…。すっげぇ可愛く俺を煽るよね。…やばい」
ちょっと掠れた声で、慎がボソッと言った。もう一回ふぅってため息をついて、またぎゅって抱きしめてくれる。
「…ほんと可愛くて困る…」
オレは何て応えたらいいか分かんなくて、慎の胸に耳をつけて、いつもより少し速い心音を聞いていた。慎はオレの頭や背中を撫でてくれてる。
「…じゃ、俺一旦帰るわ。朝飯食って準備したら出かけよう」
「うん」
ぽんぽんって背中を優しくたたかれて、慎の上から下りた。
ベッドの上に座って、お互いに相手の髪を手で梳いて、触れるだけのキスをした。
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