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S 81
「ね、慎。…うでまくら、して?」
はは、なんだよ可愛いなぁ
「いいよ?」
横向きに寝て、腕を枕に沿わせて伸ばしたら、翠里が嬉しそうに擦り寄ってきた。
かわいー…
向き合って、腕を脚をお互いの身体に絡め合う。
「…なんか…、こやって寝るの初めてで…しあわせ…。この前寝落ちちゃったし…」
「そだな…。寝ながらお前がくっついてきたことはあったけど…」
「あ…」
翠里が俺をちらっと見た。
「あれ、すっげ可愛くてさ。ほんとどうしようかと思ってた」
見つめてくる翠里の鼻の頭に口付けた。翠里はぎゅっと抱きついて、俺のTシャツの腰の辺りを握っている。
「…オレ、いつから慎のこと好きだったんだと思う?」
「なにその可愛い質問」
めっちゃ顔がにやけるんだけど。
「だって…分かんないんだもん。…ずっと好きだったから…いつから好きなのか…」
翠里はちょっと眠くなってきてるみたいで呂律が怪しくなってきてる。
それもまた、すっげぇ可愛くてやばい
「…じゃあ、最初っから好きだったことにしといて?」
ごく軽く、唇にキスをした。翠里が頬を染めて俺を見てくる。
「俺も、…一目惚れかもな、って思ってるし…」
ヒトメボレっていうワードが、めちゃくちゃ照れくさくて気恥ずかしいけど…。
「…ほんと…? 慎…。うれしー…」
うわ…っ
笑う翠里の周りに、花びらが舞うような幻が見えた。
「じゃあオレも、そうする…。だってね、はじめて目があったとき、どきってしたもん…」
「え…?」
「だからオレも…慎にひとめぼれ…ね…?」
うふふふふって笑いながら、翠里がもぞもぞ動いて、俺の胸に顔を擦り寄せてくる。
「まじで…?」
やばい 嬉しい
「慎、また自分でいって、びっくりしてるね…」
「あ…はは、そうだな」
「そゆとこ、かわいーよね、慎…」
翠里がくすくす笑う。
「可愛いってお前…」
「かわいーよ。オレの慎はね…かわいくてね、かっこいい…」
そう呟いて、翠里は俺の腕の中で眠りに落ちた。
俺のTシャツを握り締めたまま…。
「…自分こそ可愛い顔してさ…」
眠った翠里をぎゅうっと抱きしめたら、翠里が「くぅー…ん」と仔犬のような声を出した。
可愛いなぁ
どうしよう この可愛いの
これ俺のだぞ?
また改めてそう思って嬉しくて、翠里のサラサラの髪を梳いた。
たぶん俺、これからもこうやって、俺のだなぁって思ってニヤニヤするんだろうな。
完全にやばいやつだ。
ごめんな、翠里。やばいやつで。
でもずっとずっと大事にするから だから…
な 翠里…
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