M   85

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「ま、せっかくおれが『こいつらはベタベタした友達同士なんです』って周りに言って回っといたんだから、そのまま仲良くベタベタしてな? あ、でも外でちゅーとかすんなよ? さすがに誤魔化せねぇぞ?」 「け、絢一…っ」 「…ほんとはさ、『付き合ってます』っつって、みんなが『へー、そうなんだ』で済む状態がいいんだろうけど、まだやっぱさ、余計なこと言うやついるだろうし…」  ふっとため息をついた絢一が、昼間大田を止めた時みたいな真顔で言う。 「ありがとな、絢一。色々気ぃ遣ってもらって…」  慎が絢一をまっすぐに見た。 「いいって、いいって。ダチじゃん、おれら。つかイケメンが真顔で見つめてくんのやめろ。ホレちゃうぞ?」  顔の前で手を振りながら、絢一が頬を赤くして茶化した感じで言う。  照れてる 絢一 「転校してきた時さ、翠里の友達っていいやつばっかだなーって思ったけど、ほんといいやつだよな、絢一」 「だからやめろ、慎。恥ずいからっ」  今度は慎がニヤニヤしてる。 「絢一、ほんとありがとね! オレ絢一のことも大スキ!」 「お! なんだ? 浮気宣言か? 慎、こいつしっかり掴まえとけよ」  まだちょっと赤い顔で、絢一が慎に笑いかける。 「ははっ、捕まってんのは俺の方だよ。も、ぜってぇ離れらんない…」  うわ… 「…は…っ、なんだよ盛大にノロケやがって。でもマジで、良かったって思ってっから、おれ」  絢一が慎を見て、オレを見る。 「大田に言うのはもちょっと後だな。お前らのこともっと知ったら、あいつも『そっかそっか』って言うと思うし」 「ん」  まあそれは、どうか分かんないけど。 「オレ、絢一が友達でよかった」 「だから恥ずいからやめろ」 「そーゆーとこもスキだよ」 「慎、こいつどうにかしろ」 「あー…、俺ほんと引越してきて良かった」  あははって笑った慎を見上げたら、いつの間にか空がキレイなピンク色に染まっていた。その夕焼けに照らされているからか、絢一の顔はまだほんのりと赤かった。
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