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上から下まで黒い服を着た業者に、横からトントンと肩を叩かれた。どうやら、うたた寝をしてしまったらしい。 「あのー…すみません。これで最後なんですけど。どこに置きましょう?」 言われて見れば他の物は、すでに運び込まれている。 それらと比べて明らかに厳重に包まれているには『コワレモノ・取扱い注意・この面を上に』と三枚もシールが貼られているから聞かれるのも納得だけれど。 「あ?えっと…そうですね。じゃあ…あの額縁の横にお願いします」 中身なんだっけ?と思いながら私が指で示した先にはアイドルグループのサインがある。ファンクラブ会員限定抽選で当たった宝物だ。 「かしこまりました〜ここに置きますね。では、こちらにサインをお願いします」 ネットショッピングでの買い物が多い私は、荷物を受け取った時の要領で、よく確認もせず名前を書いた。 「どうも。ここだけの話ですけどね?ここ、なかなか空かないんですよー!お姉さん、ラッキーでしたね!これで手続きはすべて完了しました。ようこそ。川越市へ!」 ここだけの話と言う割には大きな声を上げる業者の営業スマイルは、目がチカチカした。 ん?この感覚、前にもあったような…?物思いに耽る私をよそに、業者は引き上げていった。
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