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私は幼い頃から綺麗なもの、可愛いものが好きな子供だった。
キラキラしたおもちゃの指輪やティアラ、リボンの髪飾りが何よりの宝物で、いつもレースのたっぷりついたスカートやワンピースを好んでよく着ていた。
寝る前に母に読んでもらう本はもっぱらシンデレラや白雪姫など、いわゆる「お姫様」が主人公のものばかりで、美しいドレスを着て、美しく微笑む彼女達は、常に私の中で憧れの存在だった。
そんな私がルイちゃんに初めて会ったのは、小学校の入学式の時だった。
式典を終えた後の教室。初めて見る顔ぶればかりの中で、私の心は期待と不安で満ちていた。
真新しい机を前に座り、まだ教室の入口からぞろぞろと入ってくる同級生達の様子をうかがいながら、そんなことを考えていた。
しかし彼女が現れた瞬間、そんな悩みは吹き飛んでしまった。
白のジャケットとスカートのセットアップに、ピンクのリボン。そしてピンクのランドセルがよく似合う、まるでお姫様のような女の子。
目の前がチカチカした。その美しさで目が焼かれてしまいそうなのに、
長い髪をなびかせ、自分の隣の席に座ったその子を見て、世の中にはこんな綺麗な子がいるのだと、幼いながら衝撃を受けたのを今でもよく覚えている。
人は誰しも綺麗なもの、美しいものには近づきたくなるものだ。私もその例に漏れず、気づけば彼女に声をかけていた。
それから私たちが仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
お互いに可愛いものが好きと言う共通点があったおかげで、すぐに意気投合したのだ。
ルイちゃんが男の子であることは、必ず席が男女隣同士になるように決められていた為、入学してすぐに気づいた。
その事に最初こそ驚きはしたものの、当時の私はルイちゃんの性別についてあまり気にはとめはしなかった。
性別なんてこの美しい顔の前ではささいな事に思えてならなかったからだ。
それでも幼稚な同級生、特に男子はルイちゃんの性別や格好に対し何かと突っかかってきたが、その度に私は彼女のことを守った。
可愛い可愛い私のルイちゃん。私だけのお姫様。
そんなルイちゃんを傷つける奴は、誰であろうと絶対に許せなかった。
人一倍可愛いものへの憧れが強かった私にとって、ルイちゃんは自慢の親友であり、理想であり、憧れの存在。彼女に抱くそんな気持ちは、高校生になった今でも変わらないままだ。
ただ、ひとつの感情を除いては。
「わぁ、見て真央ちゃん!どのスイーツもすごく美味しそう!」
「本当だ…!どれ食べようか迷っちゃうなぁ」
店に入店後、私たちは悩みながらも各々が食べたいスイーツを選び席に座った。
二人で煌びやかなスイーツの写真を散々撮った後、私は早速一番好きなショートケーキにフォークを突き刺しぱくりと頬張る。
「!、美味しい…!」
滑らかなクリームとふわふわのスポンジの異なる食感が、苺の甘酸っぱさと混じり合い口いっぱいに広がる。
(わぁ〜やっぱり甘いものって最高だな…)
そう思いながら食べ進めていると、ルイちゃんがニコニコしながらこちらを見ていることに気がつく。
「な、何…?」
「いや、真央ちゃんって本当に美味しいもの食べる時幸せそうな顔するなーって」
「え?!嘘、そんな顔に出てる?」
「うん!自覚ないとこもまた可愛いよね〜♡って、あっ、真顔で食べ始めないでよ〜!僕真央ちゃんのその顔すきなのに!」
「いっ、いいから!ほら、ルイちゃんも早く食べて!ケーキ美味しいよ?!」
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