友人Fの本懐10 - 罪のしるし -

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人を殴る。 その時はその相手の後ろに居る家族や友人たちも殴るつもりで殴れ。 そんな事を大人になってから言われた事がある。 しかし、高校生の私たちにはそんな事など考える事も無く、当たり前の様に喧嘩をする日々だった。 その日もいつもの様に関口が勝手に始めた喧嘩に巻き込まれる様に街中で喧嘩をしていた。 「もう、いいんじゃない…」 私は、一人冷静に缶ジュースを飲みながらガードレールに座った。 負け知らずのFは肩で息をしながら、夏を引き摺る暑さに汗を飛び散らせながら、他所から来た、少し気合の入った風の高校生を殴っていた。 関口に関しては、どこから持って来たのか工事用のパイロンを振り回して、五人いた相手を殴り続けている。 「お前ら、何処のモンやねん」 相手は焼けたアスファルトの上に座り込んだまま私たちに訊く。 「お前らと違ってこの辺のモンや」 Fはそう答えると、その男に蹴りを入れる。
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