ヒカリ

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普段のアタシは東京に本社を置くたつみ探偵事務所のふくしま営業所で浮気調査専門の探偵をしている。その他にも後進の育成と夫婦カウンセラーとして夫婦関係の悩み事や辛いことを聞いて相談に乗っている。 四月。植物が芽吹き新生活がスタートする季節。気持ちいい陽気に心が踊る季節でもある。 「私ね、みんなを笑顔にして、誰からも愛されるアイドルになるの」 目をキラキラさせてご当地アイドルうねめ小町のオーディションに合格したことをヒカリに報告しているのは幸予。アイドルになりたいという夢を叶えた。 ヒカリの両親、保さんと花菜さんが里子として引き取り1年近く面倒をみていた子。 ヒカリと交際している子。 保さんと花菜さんは二人の交際を認めている。 幸予はヒカリと同じ18歳。1週間後に誕生日を迎える。身長170センチメートル。体の線が細く、目がくりくりしていて、実年齢より大人びて見える。白いTシャツに、お尻が見えるんじゃないかそのくらい短いデニム地の短パンを穿いていた。 「さっちん、そろそろ行こうか?さっちんがいないとレッスンがはじまらないよ」 「はい。田母神さん」 幸予をさっちんと馴れ馴れしく呼んでいるのはうねめ小町の運営会社の社長でプロデューサーの田母神という茶髪でいかにもチャラチャラした男。 田母神はごく自然に、然り気無く幸予の腰に手を回していた。 ヒカリは気付いてない。 田母神は幸予をアイドルではなく、女として、性的な目で見ていることを。
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