名前も知らない君。

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名前も知らない君と初めて会ったのも、ちょうど夏の終わりの頃だった。 子供の頃、あの公園で一度だけ会った。というより、ただ僕が一方的に君を見ていた。そんな僕の視線に気がついた君は、僕に話しかけてくれた。 あぁ、君は今、どこにいるのだろうか? 出来ることなら、また君に会いたい。あの頃とは変わってしまっていて、君を探すのは難しいかもしれない。 そう思いながら、あの公園に足を運んだ。 すると、その公園には女性が1人佇んでいた。 僕は、その人が、あの時の彼女なんだと解った。何故か解らないけど、あ、彼女だと思った。 「あの……」 今度は僕から声をかけた。 「あの……昔、子供の頃に、この公園に来たことありますか?」 「え?」 彼女はキョトンとした顔をした。 実は僕も昔、子供の頃にこの公園に来たことがあって、それで…」 僕は慌てて、言葉を探す。 「そうなんですか。私も公園に来た記憶がありますよ。」 その返事に、僕はホッとした。 「それで、あの、覚えてないかもしれないけど」 「覚えてますよ。」 「え?」 「覚えてるよ。貴方の事。あの時の子でしょ?」 僕は唖然とした。そうだったら嬉しい、とは思ってはいたが、まさか本当に彼女まで、僕の事を覚えていたなんて。 こんな奇跡があるのだろうか。 「僕の名前は、ゆうと、桜庭佑音です。 貴女の名前を、教えてもらえませんか?」 名前を、教えてもらえませんか?」 「私の名前は、澪、星川澪。」 僕らは名前を教えあった後、お互いの連絡先も交換した。 そして、それからは良く会うようになり、今ではお付き合いをするようになった。
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