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彼がこの心霊スポットを訪れて調査する旨を事前に聞いていた友人が老木の近くに設置された定点カメラを回収した。
一応、警察に提出したが、もう捜査は終了した為に必要無いと却下された。
それなら自由にカメラの中身を見てもいいと友人は自宅に帰ってこのカメラが捉えた映像を見た。
映像には老木が映り、何の変化も無くただ時間だけが経過していた。
しかし、15分が経過した頃に、どういうわけか、撤収した筈の彼が戻って来て老木の前に立って慌ただしくその周辺を見回していた。
そして、衝撃的なシーンがしっかりと映像に残っていた。
彼がカメラ側を振り返って腕を組んで何か考え込んでいる仕草を取っていた時、突然彼の頭上に赤いスカーフを巻いた女性が現れた(真偽は不明だが、見た感じでは彼はその存在に気付いていない様子)。
恐らくこの心霊スポットで目撃されている幽霊で間違いない。その幽霊の左手には鑿が、右手には槌を持っていた。
幽霊は彼の頭に向かって鑿を突き刺し、そのまま槌でゆっくりと、そして強く打ち付けた。
すると彼は突然頭を抱えて苦しみ出し、「頭が痛い」と呟きながら画面の外へ姿を消した。
この時、幽霊の姿は消えており、それ以降の映像が電源が落ちて途切れるのだが、その間際にその幽霊と思われる女性の声が残されていた。
――次ハ……オマエダ
映像を見終わった友人は背筋が凍るような恐怖を感じ、すぐに映像のデータを削除した。
そして、何となく頭に痛みを覚えたので、ベッドで横になり、そのまま深い眠りについた。
《完》
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