プロローグ

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プロローグ

───今日、ヴィヴィアン・ラームシルドは婚約者と親友を守って死ぬ……はずだった。 「───ヴィヴィアン、危ないッ!」 背中に激しい痛みを感じて、ヴィヴィアンはその場に倒れ込む。 真っ白な聖女服が背から赤く染めていく。 「アンデットめっ!よくもヴィヴィアンをっ!」 「許さないわ!」 アンデットは死の森と呼ばれる場所から湧き出る化け物の総称だった。 どうやらヴィヴィアンはアンデッドに襲われてしまったらしい。 (わたしはアンデットからジェラール殿下とベルナデット様を守った、ということ?でも……アンデッドはわたしに近づけないはずじゃないの?) 様々な疑問が頭に過ぎるが、背中の激しい痛みに意識が遠くなる。 ヴィヴィアンが咳き込むと、口端から血が流れた。 なんとか体を起こして様子を見るために仰向けになる。 「ヴィヴィアンッ、ヴィヴィアン……大丈夫か!?なんでこんなことを」 「ジェラール、殿下は……ご無事、ですか?」 「僕とベルナデットは無事だ!だが、ヴィヴィアンがっ」 ヴィヴィアンはなんとか自分の力を使って背中の傷を治癒できないか試していた。 しかし傷は思ったよりも深いようで自分の力で最後まで怪我を治すことはできないだろう。 死を意識した瞬間、手足が急速に冷えていくような気がした。 ヴィヴィアンはこの国の王太子、ジェラールの婚約者だった。 いつか素敵な結婚式を挙げて、二人で永遠の愛を誓い、国を守っていくことを夢見ていたが、それはもう実現できないのだろう。 今までの人生に後悔がないと言ったら嘘になる。
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