プロローグ

2/28
440人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「わたくし、人を呼んでくるわ……!」 「ヴィヴィアン、頑張れるか?」 ヴィヴィアンはベルナデットの言葉に緩く首を横に振った。 その瞬間、二人の唇が大きく歪んでいるように見えたような気がした。 (……気のせい、よね?) ジェラールがヴィヴィアンの名前を呼んで必死に叫んでいる姿を見て、そんなはずはないと思った。 誰かを呼んだとしても、このままでは間に合わない。 ベルナデットを引き留めるように「待って」と口にする。 最後にジェラールとベルナデットに言葉を伝えたくて、ヴィヴィアンは口を開こうとするが、うまく言葉を紡げなかった。 ジェラールは眉を顰めながらヴィヴィアンの言葉を待っている。 「わた、しは……ゴホッ」 「ヴィヴィアン、もう喋るなっ!」 「ごめんなさいっ、ヴィヴィアン!わたくしが探し物があるなんて言ったからこんなことに」 ジェラールの隣で瞳を潤ませているのはヴィヴィアンの親友、公爵令嬢のベルナデット・スタンレー。 モカブラウンの髪とバイオレットの瞳がぼやけて見える。 公爵令嬢でありながら、平民出のヴィヴィアンに優しく接してしてくれた。 ヴィヴィアンは令嬢達から馬鹿にされていたが、ベルナデットと仲良くするようになるとそれも少なくなる。 ベルナデットはヴィヴィアンにとって大切な友人だった。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!