四章

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「やっとヴィヴィアンに触れられた。早く前のようにヴィヴィアンと共に住みたい」 「……えっと」 サミュエルはヴィヴィアンを無言で抱きしめては毎晩、何かを補給している。 彼の記憶が戻ったのと同時に今まで堰き止めていた何かが溢れ出るように、ヴィヴィアンへの溺愛が止まらない。 「ヴィヴィアン、愛している」 サミュエルの愛情表現は日に日に増していき、激しくなる一方だ。 そういうヴィヴィアンもサミュエルとジェラールへの愛情の差に気づいていた。 ジェラールの時は義務的だったが、サミュエルの時は心から彼を好いていると思えた。 今もサミュエルの温かい愛情に救われている。 彼は何をするにもヴィヴィアン優先なので、逆にこちらが止めるくらいだ。 いつも優しくヴィヴィアンを見守ってくれて、最後まで話を聞いてくれるところは冥王の時から変わっていない。 サミュエルは冥王になりかけてから時が止まっており、アンデッドになっていたキーンやアーロ、帝国民達も同じらしい。 記憶が戻ってからベゼル帝国や母親のアンについてたくさん教えてもらっていた。 サミュエルの年は二十四歳で圧倒的な魔法力を持って生まれて皇帝になったこと。 キーンとアーロは幼馴染で、気難しい性格と力が強すぎること、そしてあまりにも感情の動きが少なくて威圧感があったためベゼル帝国の女性達には恐れられていたらしい。
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