五月のある日

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 まつりの仕事が急に忙しくなったのは、ふたりには知れたことであった。  連載中の漫画は、テレビドラマのシリーズはとうに終わっていたのだが、来年秋公開予定の映画になることが決まった。  それに伴って、一話あたりの漫画のページ数が五ページ延びることに決まった。  それだけではなく、飯スタントとして雇った唐立桃子さんは、相当の実力派で、パソコン作画の名手であった。  長久保の後任の担当編集の結城凛香女史は、これを大変面白がって、まつりの漫画をパソコン技術を最大限使って描いたなら、どうなるだろうと言い出した。  パソコン作画の担当はあくまで唐立桃子だが、まつりはストーリーを考えて、元になる作画を行うことになる。  これがなかなか面白い世界観になって、あくまで全十回の連載だが、早瀬川まつりとは違うペンネーム、「虚空ノ塔」を使ってダブル連載することになった。
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