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その翌日
翌日の夕方、藤原美鈴がまたまつりの家を訪れると、前日と同じように、遠藤みつるが本を顔に乗せて寝ていた。
美鈴は驚いて
「なに? 豆はずっとここにいるの? 仕事は?」
と問うた。
「定時で終わるんです。公務員なんで。」
みつるは答える。みつるの仕事は、図書館司書である。
今日の美鈴は、大きな紙袋を下げていた。ふたつ。ひとつはかなり大きく、もうひとつはもう少し小さめの赤い袋である。
「まつりに渡しといて。こっちのは豚まんだから、冷めないうちに。あの子、タンパク質が足りてないと思うの。あんたの分もあるわよ。」
その袋の中身を見ると、赤と白の紙箱に入った、高級そうなものであった。
「ありがとうございます。ご自分で渡したらどうですか?」
「いいのよ。邪魔したくないから。」
美鈴はもうひとつの紙袋も、みつるに渡した。
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