02.

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02.

 祖父母の田舎は、びっしりと木々を茂らせた山々が村を囲み、残されたわずかな土地に田畑が広がる。そんな田畑のそばにも山裾の森が迫る。その山裾に、森の守り神と言われている御神木がある。  御神木の根元の胴まわりは、大人が二人で両腕をまわしてもまわりきれないほど。御神木の背丈は、幼い頃の莉亜には想像もつかないくらいに高い。空に届くほどの高さにまで枝葉が茂る。  幼い頃の莉亜は祖父母や両親に連れられて、御神木の根元にやって来ては、不思議な鳥の鳴き声や、数え切れないほどのセミの鳴き声の響く森の中で、びっしりと生えた緑色の苔やキノコまで生えた御神木の根本を興味深く眺めた。別の世界を眺めるように。  御神木のそばに立つ小さな祠の前で、莉亜は御神木を見上げる。 「こんにちは、ひさしぶりです。四年ぶりに会いにきました」  その瞬間、強い風が吹き、森の木々が揺れた。雷鳴がとどろくようなざわざわとした音が響く。まるで御神木のあいさつのように。 「おい、お前。こんなところで何してるんだ?」  急に聞こえた誰かの声に莉亜は思わず体を震わせる。誰かがいるなんて思わなかったから。あたりを探ると、御神木の後ろからひとりの少年が姿を現した。莉亜と同じくらいの年齢に見える少年。
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