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07.
「ガッコウ? ガッコウってなに?」
はじめは莉亜をからかっているのかと思った。けど、少年は本当に学校の存在を知らないようだ。
「私が言ってるのは中学校。国語とか英語とか数学を習うの」
「どうして?」
「どうしてって義務教育だからよ。大人になって困らないように」
莉亜のそんな説明に少年はやっぱりわからない顔。きっと不登校とか実は外国から来た少年なのかもしれない。そんなことを思った。
それでも毎日のように莉亜と少年は御神木の根元で会うようになった。朝、祖父母の農作業を手伝い、そして夏休みの課題をすませると、莉亜は御神木のところに出かけ、少年とさまざまな話をした。たいてい莉亜が一方的にしゃべって、少年は相槌を打った。
「こっちでいい友達ができたみたいでよかったねえ」
祖父母にはいい友達ができたと説明した。その友達と御神木のところで過ごしているのだと。そんなふうに祖父母の田舎で過ごす日々は過ぎていった。理亜の膝の傷はすっかり治っていた。
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