回転する地獄

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すっぱい匂いで目が覚めた。   身を起こすと、私は全裸で白い物体の上に乗っていた。  何これ?  どういうこと?  わけがわからない。  さっきまで、確かに教室で数学の授業を受けていたはずなのに…。  身体の下の白いものは、やわらかいつぶつぶでできていて、つんと鼻をつく匂いを放っている。  おなかのあたりがひりひりするので目をやると、気味の悪い緑色の流動物が付着していた。  ひりひりするのは、どうやらこいつが原因らしい。  仕方なく緑のどろどろを素手で取り、振り払った。  その反動で危うくおっこちそうになり、私は白い地面にしがみついた。  どうしてなのかはわからないけど、私を乗せたこの白い物体はゆっくりと移動しているようだった。  周囲を見回すと、私の前後にも同じような箱型の物体があり、そのうえで裸の少女たちがきょろきょろあたりを見回していた。  唯も華もミカもいる。  みんな私のクラスメイトたちである。  彼女たちが乗っているのは、私のと同じ白いつぶつぶでできた四角い乗り物だ。  乗り物の下はベルトコンベアみたいな動く道路になっていて、私たちの乗る乗り物はそれによって運ばれているというわけだ。 「あ、ユキ! ね、何がどうなってんの?」  私の前を行く乗り物の上の少女が振り向いた。  親友のみのりだった。 「わかんないよ。気がついたらここにいたんだもの」 「でも、なんで裸なのよ? それに、ここって…」  みのりが言いかけた、その瞬間である。  ふいに彼女を乗せた乗り物が持ち上がった。 「みのり!」  叫んだ私は、見た。  太い芋虫のような指がみのりの乗り物をつまんでいる。  そしてその向こうに開いた、赤く大きな口。  みのりが乗り物ごとその中に吸い込まれていく。 「助けて! ユキ!」  それがみのりの最後の言葉だった。
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