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そして紆余曲折を経て家を譲り受けてから初めての8月、私は鯉のぼりを立てた。
祖母が毎年、決して間にを空けることなく立てた鯉のぼりを。
鯉のぼりは、雲一つない青空を悠然と泳ぐ。
それを見た村人たちが、
「今年も泳いでるなあ」
「もう見れないと思ってたよ」
喜びの声を上げて見上げていた。
私は、手で日除けを作って空を、鯉のぼりを見上げる。
これからは私が2人を迎え入れる。
2人の生きてきた頃から、そして離れ離れになってかも過ごしてきた大切なモノを守っていく。
「今年は2人で戻ってきてね!」
私は、天に届くように叫んだ。
風車がカラカラと笑い声を上げた。
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