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うちの家
うちにはぼぼろーという犬がいる。ぼぼろーはいつも下僕の下をウロウロと動き回り、しきりに何か言葉を発している。
「にゃこも主さんと遊ぼうよ」
「私は暇ではない。下僕と遊んでやる義理はない」
「えー、楽しいのに。あ、わかった。にゃこは日本語話せないからむくれているんだ」
むくれているの意味が分からなかったが、この犬に聞いたら調子に乗る。だからここは知った風に反応する。
「そんなことは無い。大体高貴な私が人間の様な臭いやつらと戯れている暇はない」
「にゃこは雑種じゃん」
「雑種は悪くない!」
「別に悪いって言ってないよ。僕のとっておきの日本語教えてあげる」
「いらないと」
「せーのーで、『ワン』」
「は?」
「ワンだよ、ワン。日本語、分かる?」
「それはお前の鳴き声だろ」
「でもこういったら主様は喜ぶし、僕も嬉しいし」
ぼぼろーはしきりに吠え始めた。
人間でいうところの成犬雄ゴールデンレトリバー。今日もぼぼろーは元気に吠える。下僕たちが寄って来た。
日本語を教えているの、偉いね。
ぼぼろーは嬉しくなって何度も吠えた。
私の邪魔をするな、私は隅で寝させてもらう。
「にゃこ。おやつをあげよう」
「仕方ない、少し相手をしてやるか」
そう思った私は下僕の足にすり寄った。
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