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その夜、妻サリと平岡みな実にオリエの調査書の内容を説明した五郎に
「すぐに迎えに行けるってことよね?居場所がハッキリしたんだから」
ソファーの上で前のめりになった妻が確かめる。
「弁護士を通そうかと考えている」
「どうして?井川先生にお願いすることが反対なのではないけれど、時間の掛かるのは反対よ。自分たちの娘を迎えに行って何が悪いの?」
「悪くないが、状況を考えると私達が直接、福西仁左衛門へコンタクトを取るよりも弁護士を通す方がいいと思う」
口をパクパクさせる妻から平岡に視線を移して意見を求めた五郎に
「差し出がましく恐縮ですが、私も社長のお考えに賛成です」
平岡ははっきりと応じたあと、妻に目礼を送った。
「あなたは主人の意見にいつだって賛成なのよ。当てにならないわ」
「賛成の理由はいくつかあります」
「一応聞いてあげるわ、どうぞ」
「恐れ入ります、奥さま。オリエさんは未成年ですから事件性がゼロではないというのがまず1点。それから、この2年間に洗脳されている可能性などもあるかと考えられます」
「洗脳?」
「はい。このお屋敷まで帰れない距離でないところにお住まいなのに、帰って来られないだけでなく目撃情報さえない生活を続けるのには、オリエさんが福西家から何らかの洗脳を受けているような状況が否定出来ないと思います。ですから、単純に迎えに行くという話ではない、と考えた次第です」
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