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それから時が流れ、次第に薄まる金虎への敬意、期待感。
坂田金虎はもう終わりだとあちこちで囁かれ始めていた。
妻となった姫の美しい容姿が衰えるや否や、他の美しい女に目が行くようになり、半ば無理やり手をつけたり、強引に側室に据えたりなどといった行動を取るようになって反感を持つ者が増えていき、離れていくようになった。
それに危機感を持った金虎は更なる手柄を求める。
金虎
「我は神に愛されし神子。神のお言葉により、鬼族を狩り尽くさねばならんのだ。鬼族を探し出すぞ!第二の酒呑童子が現れぬとも限らん!」
その言葉に皆が同調した。
神の子であればあんなに強いのは納得じゃ!
あの戦斧も神から授けられたんじゃろう?なんと神々しい!
ありがたや、ありがたや、と下卑た笑いを浮かべる太鼓持ちの者ども。
坂田はそういうものしか側に置かなかった。口喧しいものは徹底的に潰し、追い出したりしていたからだ。
そんな坂田の上司である源は、他の仲間と共に流石にやりすぎではないか、おそらく大人しく暮らしている鬼もいるだろうと苦言を呈したが、源の存在をよく思わぬ他の武家がここぞとばかりに坂田の言葉を持ち上げ、鬼族殲滅作戦が決行されることとなった。
まずは鬼狩り部隊を作り、その中でも精鋭は坂田金虎の側に置かれた。
金虎は止まらなかった。
洞穴、山奥や森の中に潜んで暮らすたくさんの鬼族を見つけ出しては滅ぼしていく。
生き残りが出ぬよう、徹底的に首を落とし、村を燃やし、財宝や食い物を略奪していった。
帝に献上し、更なる褒美、そして名声を得るために!!!!
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