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そうして坂田金虎は己の領地、そしてちょっとやそっとでは揺るがぬ地位を築いていった。
だが鬼狩りの悲惨さは内々で伝え継がれ、赤子まで抹殺するのはとても辛かったのか、自ら命を断つ隊員が何人か出てしまう。
戦にはよくあることとして処理されてしまったが、坂田金虎のその冷徹さを良しとしない部下が離反して別の武家に異動していき、後に残されたのは金虎のように傲慢で取り入るのが上手い者ばかり。
今では台頭する若者たちに押されて必死に今の地位に縋り付いているらしい。
そこで言葉を切る仁に、いつの間にか抜け出して用意していたのか、小百合がお茶をそっと差し出した。
礼を言い受け取って喉を潤わせる様子をじっと落ち窪んだ眼窩越しに眺めるお銀。
お銀
「…随分と詳しい情報を持っていらっしゃる」
仁
「まああんなことやこんなことやって得たけど、そもそも人望が最底辺だからな。あそこから抜けた部下や、お気に入りにされていた女郎も簡単に教えてくれた」
こんな情報、もうとっくに知ってたか?と仁。
それに頷くお銀。
仁
「俺だってあいつが憎い。だから復讐するなら協力するし、俺もやらせろ」
その言葉にため息をつく。
お銀
「わかりました。あなたも同じ穴の狢のようですね」
仕方ありません。仲間にしましょうか?とコロを見やる。
いいんじゃないか?と目配せ。
お銀
「では、部屋もたくさんあることですし、こちらで暮らすことを許しますよ。ただし寝室に入らないでください」
仁
「添い寝はダメなの?」
お銀
「ダメ」
ちぇーっと不貞腐れてそばにいたコハクを抱き抱えてむぎゅっている。
顏がむきゅーっと潰れている子犬。
めんこい。
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