〆3

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〆3

まあ、名前なんざ記号にすぎませんものね。 ましてやここは遥か彼方の異国の地、どなた様のお名前もそれ以上の必要はございません。 アラステアさまのお許嫁が、ユリさまでその乳母ならぬ小間使いがロバート殿ですね。 それで十分でございます。 桃源郷の輸送船でおいでになり、皆さま方への敬意あるクルーの態度を見ていれば自ずと分かります。 私の名ですか?それこそ名乗る程などございますまい。 王が我が名をウサ耳と呼ぶので、それで十分でございますれば… どうせ初めての訪問でいらっしゃるのですから、気前よくぱぁ〜っと… え? それはよろしいのですか? では、謁見の間でしばしお待ちくださいませ。 怪しいウサ耳は、ひとり芝居のような口上を切って慇懃に礼をするとその広間から出て行ってしまった。
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