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第1話:いわゆる怪事件の幕開けってやつ
私、伊藤魔鈴はひょんなことから魔法少女ダイナマイト♡マリンに変身し、異世界を自分の物にしようとたくらむバッキーと戦うハメになった。
そして、なんとかそのバッキーとの激戦を制し、異世界の平和は保たれ、通常の学生生活を送っていた。
唯一の心残りは、敵の親玉であるバキバキ皇帝が封印から逃れ、別世界に逃亡したままだということだ・・・
しかし、すべての力を使い切った今となっては私にはどうすることもできない・・・
そして今は、朝の学校、ホームルームの時間である。
「たまには気分転換っということで、席替えしま~す。」
ぐんPこと郡司先生の一言で席替えが始まった。
ちなみに現在、私の座席は親友のチャンチーの隣である・・・
そして・・・
「やった~!隣、畑中ちゃんじゃん。宿題教えてもらお!」
「よろしく~伊藤さん!」
彼女は畑中夏実、校内トップクラスの才女、そしてめっちゃ性格がよい。
「この浮気者~!私がいるのに畑中さんに乗り換える気か~」
後ろから私の頭をぐりぐりするのは親友のチャンチーこと地井千晶・・・
「浮気なんてしないわよ~チャンチーにはちゃんと宿題うつさせてもらうから~」
「そういう意味で言ってない~!」
「二人とも仲良くていいわね~」
「も~みずくさいなあ~他人事みたいに言わないでよ~畑中ちゃんも友達でしょ。」
「そうね・・・」
わいわい騒ぐ二人を見てなぜかその時、夏実は寂しく笑ったのである。
数日後・・・
「あれ?畑中ちゃん休みだ・・・」
勤勉な畑中ちゃんはよほどのことがない限り学校休まない。
そしてその翌日も・・・
「あり・・・今日も?よほど重い病気にでもなったのだろうか・・・」
さすがに私も気になりだした。
さらにその次の日・・・ホームルームの時間・・・
郡司先生が神妙な面持ちで・・・
「これ以上君たちに対して黙っておくわけにもいかなくなりました。畑中夏実さんが、三日前から行方不明になっています。警察も全力で捜索していますが、まだ手がかりすら見つかっていない状況です。」
一気に教室がざわつき始める・・・
そしてぐんPは話を続ける・・・
「動揺するのはわかりますが、静かに・・・
関連は断定できませんが、若い女性のみが連続して失踪する事件に関連している可能性が高いのです・・・君たちも十分気を付けるように!」
「そんな!」
思わず私は声をあげてしまった・・・
これが、これから私たちがこれから体験する奇妙な事件の幕開けなのであった・・・
その日のお昼休み・・・
「地井、伊藤、ちょっち顔かしてくんない。」
「本間先輩・・・」
ひょいと私の教室に現れたのはちょっと派手めの先輩、本間海菜さんだ。
「先輩、珍しいっすね・・・」
「まさか・・・」
「まあ、そういうことだ・・・場所は『生徒指導室』・・・行くぞ。」
私達は過去にこのメンツ、このノリで集合したことがあるのでおおよそ用件はわかっている。
だが・・・
「だから本間先輩、“パパ活”はやめた方がいいって言ったじゃないですか!」
あえてボケてみる。
「てめ~伊藤、知っててボケるとはいい度胸だな。」
拳を震わせながら怒り始める本間先輩
「ひい~ごめんなさい~悪ふざけが過ぎました。」
「とにかく入るぞ!」
中には・・・
「あ、やっぱりぐんP・・・」
「連れてきました。郡司先生」
「わざわざありがとうございますカイナ姫」
部屋に入った瞬間にぐんPの対応が変わる。
それもそのはず・・・本間先輩ことカイナ姫はこの“現実世界”と異なる“夢想界”の長、郡司先生ことグーン神官はその部下ということで現実世界と夢想界の立場が逆転しているのである。
そして・・・それを知っているのは、私とチャンチーの二人だけである。
「ちなみに私の張った結界を展開していますので、声は漏れません。」
結界術有能!ぐんPいやグーン神官すげ~
そしてカイナ姫は口を開いた・・・
「聞くまでもないと思うが、君らのクラスメイト畑中夏実の失踪事件は知っているよな。」
「はい、連続失踪事件に巻き込まれたとか・・・」
チャンチーが淡々と答える。
「ああ、不可解すぎる事件なので私とグーン神官で独自調査してみたのだが・・・」
「あの・・・」
・・・と会話を遮る形でグーン神官が突如話を始めた。
「話の途中で申し訳ないのですが、外の様子がおかしいので、いったん結界解除します。」
すると・・・
「きゃー!校庭に化け物!」
一斉に窓から校庭を見ると・・・
「なんじゃあ~あいつは?」
「鷲の頭にライオンの胴体・・・ですか?」
「こいつは・・・グリフォンじゃないか!!」
様子を見て混乱する私とチャンチーだったが、唯一カイナ姫だけは化け物の正体を知っていたようだ。
でも、こんな化け物このまま校舎にでも入られたらとんでもない被害になる。
「えーと、警察!自衛隊!」
私は対応できそうな部隊を考えてみたのだが・・・
いやいや、そもそもこんな化け物、国の機関で対応できるのか?
「通常の対応では無理そうね。グーン神官!!」
「はい、やってみましょう!展開『ドリーム・フィールド!!』」
「?」
なにも変わらない・・・え?
そう、私が以前何度もバッキーと戦った赤い空と岩がごつごつした空間が学校の周囲に広がっていた。
「私の力で学園ごと夢想界に飛ばしました。」
すご・・・そういえば以前そんな技使っていたような・・・
「あれ、その技、すごいエネルギー使うんじゃなかったっけ?」
「ふふ、大丈夫ですよ。フィールド維持のため、私は戦闘には参加できませんが、修行して途中で倒れることはなくなりました。ここなら皆さんの力が存分に発揮できるはずです。」
親指を立てるグーン神官、この人何気にすごい・・・
「とりあえず夢想界なら私は心おきなく戦えるわ!ドリーム・フォース!フォームチェンジ!魔槍戦姫カイナ!」
あれこんな呪文あったっけか。あっという間に鎧姿に変身する本間先輩ことカイナ姫・・・
そして、颯爽と槍を構え飛び出す・・・いや姫であるあんたが真っ先に飛び出すとまずいんだが・・・
「地井、いけるか?」
「はい。ドリーム・フォース!フォームチェンジ!青雷騎士チャンチー」
気が付いたらチャンチーも鎧をまとった騎士に変身していた。しかも鎧が黒から青に変わっている。
「じゃあ私も!青く輝く幾千の星たちよ!我に力を!変身!!魔法少女ダイナマイト♡マリン・・・」
シーン・・・
「・・・変身・・・しない・・・」
あれ?しまった。
そう、バキバキ皇帝ソイルとの最後の戦いでブルースターのすべての力を使い切ってしまった為、私は変身することができなくなってしまったのである・・・
二人を追いかけ勢いで屋外に飛び出してしまったのはいいが、岩陰に隠れる羽目になってしまった。
え、私ヒロインなのに~
なんか情けな・・・
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