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第13話:いわゆる語られる真実ってやつ
敵であるロザリア三魔将の一人であるジェネラル・クロウはクリムゾン・ソナーの暴走によってあっさりと倒された。
また、その暴走したクリムゾン・ソナーもまた私達の命がけの攻撃により討伐することができた・・・
強敵である幹部二人を倒すことが出来たまでは良かったのだが、ここで大きな謎が・・・
なんと、クリムゾン・ソナーの正体は私たちの友人、孫宙奈だったのだ。
彼女は若干混乱しているものの目立った怪我はない・・・
そのため、どういう経緯でこうなったのか聞かざるを得ない状況である。
「そもそも宙奈もロザリア一味に捕らえられて、ああなったわけ?」
「ん~、それはちょっと違うある。」
やや考えこんでから答える宙奈・・・
「そうでなければ、自らの意思ということになるが・・・」
武器を向けながら話すカイナさん、少しでもおかしな行動したらすぐさま攻撃しそうな雰囲気だ。
「カイナさん、丸腰の人に武器を向けるのはさすがにやりすぎッスよ・・・」
それをたしなめるオオハシ・・・
そう、今ソナは魔装少女の装備でも、ましてやジェネラル・ソナーの時のような黒装束でもない、普段生活している時の服装なのだ。
「そうだな・・・だが、念のためだ・・・油断して痛い目にはあいたくないもんでな・・・」
カイナさんのいうことも一理ある。ロザリア一味の力はいまだ未知数で、この状況下でひっくり返すことができるかもしれないからだ・・・
「・・・実はロザリアは元、私の部下だったある・・・」
「え?」
「は?」
「・・・」
唐突に話を続ける宙奈・・・
あっけにとられる私達・・・
宙奈の言っていることがいよいよ理解できなくなってきた。
「やはり、そうだったんスね・・・」
オオハシ一人だけが思い当たることがあるようで妙に納得していた。
「彼女・・・ロザリアは“黄金郷”の元神官ある。そして、私は“黄金郷”を統治する女王ソン=ソナある。」
「え?女王・・・そんな風には見えないぞ・・・」
「カイナさん、今のセリフ鏡見て言おう・・・イテッ!」
突如私に向かってカイナさんのゲンコツがとんだ。
たまに狂暴になるんだよな~この人・・・
「この馬鹿のちゃちゃは置いといて話を続けてくれ。」
「わかったある。ロザリア・・・彼女は開発熱心な神官だったある。主に魔力を活用し、使用者の能力を向上させる研究・・・俗にいう『バフ』の研究をしていたある。」
「確かに、研究としては至極まっとうな内容ですね。」
いままで黙って様子を見ていたチャンチーが口を開いた。
「確かに、”黄金郷”の民はロザリアの研究した『疲労回復』や『筋力増強』などの術を用いて農作業を効率化するなど生活に役立ていたある。そのため彼女は民からも尊敬される神官だったある。その日が来るまでは・・・」
突然、宙奈の表情が曇る・・・
「何かあったの・・・」
「そうある。彼女は、民の期待に応えようとするあまり人間に『必要以上』の力を与える『禁断の書』に手を出してしまったある。」
「まさか・・・」
「そこには人間が『戦闘を行うのに特化した強化呪文』が大量に書かれていたある。」
「ってことは、それ悪用すると国を支配できちまうってことじゃないか・・・」
「その通りある。ロザリアは強化した人間を支配して国を乗っ取ろうという計画を企てていたある。それに気づいた私たちは、大事になる前にロザリアを異次元に封じたある・・・」
危機的状況になる前に対応できるのはさすがと言いたいところだが・・・
「え?でもそれって黄金郷内で済んだ話じゃないの?」
「マリン、いつもよりかなりまっとうな事を言うな・・・」
妙に感心するカイナさんに対してすかさず私はこう言った。
「誰かさんとは違いますから・・・」
「てめこの!」
「まあまあ・・・話途中じゃないですか・・・二人にかまわず続けてください。」
またこれか・・・とあきれながらチャンチーが仲裁に入った。
「封印が成功し、事件は解決・・・と思ったあるが・・・なぜか”幻想界”にロザリアとそれを崇拝する下僕が現れたという情報を入手したある・・・さすがの私達も慌てたある・・・そのため、”黄金郷”から調査隊を送ったある。」
「ところが、思うような成果が得られなかった・・・とかですか・・・」
チャンチーが状況を確認する。
「いや・・・それ以上に事態は悪い方向に向かっていたある。調査部隊は誰一人帰ることなく、連絡も途絶えてしまったある・・・」
「つまり状況が芳しくなかったので、女王自らお出ましってところか・・・」
「まあ、だいたいその通りある。私は単身”幻想界”の”夢幻城”に乗り込んだある。よくはわからなかったあるが、ロザリア軍は想定よりも数が少なく、難なくロザリアの玉座まで近づくことができたある。」
私は混乱した。
「え?調査隊を全滅させるぐらい強い勢力になっていたはずじゃないの?」
「私もそう思ったある。これはチャンスと思ってロザリアを討伐しに向かったある。」
「え・・・なんで成功しなかったの?」
「おそらく、バキバキ皇帝ことジェネラル・ノワールのせいだろう。」
「その通りある。この時の私は、敵のあまりの弱さに油断していたある。〝王の間〝に潜入したまではよかったあるが、その時に背後にノワールがいることに気が付かなかったある・・・」
「背後に回り込むなんて卑怯なやつね・・・」
ジェネラル・ノワールことバキバキ皇帝の陰湿さは相変わらずのようだ。
「結果、ジェネラル・ノワールの奇襲を受け、気が付けば仮面をつけられ、私も下僕ジェネラル・ソナーにされてしまったある・・・」
「アイツ、まだ仮面持っていたのか・・・」
半ば呆れ顔のカイナさん
「で、その仮面を破壊したことによって元に戻って今に至るわけね・・・」
「そうある。」
「え?じゃあ”現実世界”の”孫宙奈”は?」
「わたしのその世界の仮の姿ある。」
「記憶を操作してうまく入り込んだといったところか・・・」
「まあ、そうある。ジェネラル・ノワールのせいで自分が〝現実世界の孫宙奈”が〝本当の姿〝だと教えこまれていたある。不思議なことに今もまだその時の記憶は残っているある。」
ジェネラル・ノワール・・・敵としてはかなりやってくれる・・・
「一点、気になったんだけど、仮面付けていた時の記憶はあります?」
おお、さすがチャンチー、記憶があれば敵の情報が入手できるかも!
「残念ながらないある。」
あら・・・そううまくはいかないか・・・
「に・・・しても今後はどうするんだ。」
話を聞き終えたカイナさんが唐突に話し始めた・・・
「できれば一緒に戦いたいある。」
その表情に宙奈の強い意志が見えた。
確かに操られていたとはいえ彼女の戦闘能力は高い・・・これからの戦いにおいて、とても頼りになりそうだ・・・
が、残念そうな表情でオオハシが口を開く・・・
「でも、さっきの戦いで装備を破壊してしまったッス。変身は無理じゃないッスか?」
「いや・・・破壊というか浄化されたのは仮面だけある。ベルトとエンブレムは無事ある。試しに変身してみるある。」
「緑豊かな星々のその力の源よ!私に力を!ミラージュ・フォース!チェンジ!魔装少女005トパーズ・ソンソナ!クロー・フォーム!」
呪文を唱えると宙奈はまばゆい光に包まれた。
そして、両手に爪を装備した私達と同じ装備をまとった彼女が立っていた!
ただ、私達と少し違って黄金のラインが入っている。
「ええ?また、私達とちょっと違う感じ、黄金のライン入って豪華じゃん!ずるい!!」
「味方にずるいもなんもあるか!」
再びカイナさんのゲンコツがとんだ。
「いてっ!カイナさん狂暴!」
「このような状況はボクも初めて見るッス。ソナさんは”黄金郷の力”の魔力を持っているからじゃないッスかね・・・」
「とにかくこれからの決戦に新たな戦力が加わってくれるのは心強いな!」
「そうッスね。」
「よろしくアル!」
最終決戦を前に新たな魔装少女、『トパーズ・ソンソナ』が仲間に加わった!
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