第15話:いわゆる赤髪のカイナっていうやつ

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第15話:いわゆる赤髪のカイナっていうやつ

行方不明だった畑中ちゃんはジェネラル・ノワールの手によりヒュドラにされていた。 私達はヒュドラを浄化し、畑中ちゃんを無事助け出すことが出来た。 畑中ちゃんを無事な場所まで送り届けるというカイナさんを見送り、私達は先に進むことにした・・・ ほどなくして、私達は無限城の入り口に到着した。 目の前には城門のでかい扉がでーんと広がっている・・・ 「まさにラスボスの居城にふさわしい感じの城ね。」 「えーと・・・マリンさん・・・もともとはあいつらの持ち物じゃないッスけど・・・」 「あ、そっか・・・ごめん・・・」 そう、この城元はオオハシ達の居城だったが、現在ロザリア一味に乗っ取られている・・・という状況である。 「しかし、大きな扉ですね。」 いつも冷静なチャンチーも驚きを隠せないようである。 この扉幅も高さも私達の6人分ぐらいはあるだろうか・・・ 一体何のためにこんな大きな扉にしたのかは不明だが・・・ 「確かにでかいわね~ここは定番通り、鍵とかアイテムとかがないと扉は開かないとか・・・」 そういいながら扉を押す私・・・ 「うっかり触らない方がいいアルッ!」 ソンソナの警告よりも早く私は触ってしまい、なんと力を入れずにギギギという音と共にあっさりと扉が開いてしまった。 「え??案外簡単に入れるものね。」 「よかったアル・・・マリン!罠が発動するかもしれないから、やたらと触るのはやめるアル!」 ソンソナに怒られる私・・・確かにここは敵地だということを忘れていた。 「ゴメンゴメン!ま、とりあえず先に進むか~」 城の中は薄暗かったが、ロイヤルグリーンをベースにした豪華な内装だということが分かった。 「豪華なお城も人の気配がないと不気味よね・・・」 注意深くあたりを見回す・・・ 正面には上へと続く階段、一階もまだ先に続くような構造になっている・ 「さすが広いお城ね・・・ロザリアがいるとすればどこかしら・・・」 「やはり、いるとすれば階段を上った『謁見の間』じゃないッスかね。」 「では、そこを目指しましょう!」 とみんなが階段を目指し踏み出したところだった。 「!!」 私達はまばゆい光に包まれた! よく見ると床には私が解読できないような複雑な模様と文字が描かれていた。 「油断したッス、これ転移の魔法陣ッス!」 「え?これって??」 「おそらくロザリアの罠アルッ!」 扉の所で何もなかったため完全に不意を突かれた私達は、なすすべなく魔法陣の力で強制的に飛ばされるのであった・・・ まぶしい光で視界が真っ白になり、しばらくたってからようやく周囲の状況がはっきりとわかるようになった・・・ 「ここは・・・」 先ほどよりもさらに暗い場所に飛ばされてしまったようである。 何とか周囲の様子はわかるぐらいの暗さ・・・先ほどの豪華なつくりとは違い、簡素な石でできた壁に囲まれた部屋だ・・・ 「おーい!」 周囲を見ても誰もいない・・・ 先ほどの魔法陣のせいでみな散り散りになったようだ。 いつも身近にいるはずのヤギピーですら飛ばされてしまったようだ。 「仕方ない。まずは周囲を探索してみるか・・・」 私は誰に聞こえるともなく独り言を言った・・・ 「うーん、ここはちょっとした迷路みたいね。」 少し調べて分かったのだが、石造りの壁が不規則に配置されており、まるで迷路のようになっていた。 天井も同じく石造り・・・ また、ところどころに鉄格子もあるところから、牢屋だった可能性も考えられる。 さて・・・ここからどう脱出しようか・・・ などと考えていたところで意外な人物と再会できた。 「あ、カイナさん!早かったじゃん。」 なんと畑中ちゃんを送り届けたはずのカイナさんに真っ先に遭遇することが出来たのである。 「おお、そうか?どうやらみんなバラバラになってしまったようだな・・・」 「そうみたい。急いで合流しないと!」 「そうだな!」 その時、私は再会を喜ぶあまり『ある違和感』に全く気付かなかった・・・ 石造りの迷路を慎重に進む・・・せめて状況がある程度わかる人がいればよかったのだが・・・ 「おお!一気にみんなと再会できた!」 行き止まりで引き返そうとしていたところでチャンチー、ソナ、オオハシ、ゲソリンと合流・・・ 「よかったアル・・・ワタシたちも一人ずつ飛ばされてたアルが、案外早く合流できたアルね。」 「オオハシ・・・ここどこかわかる?」 元居住者のオオハシに聞いてみる・・・ 「ここは罪人を収容する地下牢ッス、敵が手を加えてなければ、すぐに地上に出れるッス!」 「良かった~」 事実その後、オオハシのナビのおかげであっさりと一階の大扉前まで戻る事ができた。 そして・・・ 「お~い。お前ら、待たせたな!ようやく合流できたか・・・先に進もう・・・」 「なんや、みんなそっちにいたんか~」 大扉を背にしてカイナさんが手を振る。 そしてその隣にはヤギピー・・・ 「え?カイナさん?じゃあここにいるのは?」 私は背後を振り返る・・・ 「レイナ姉さん?」 最後に合流した正面のカイナさんが後ろにいるカイナさんに意味不明な事を言い始める。 「え??」 先ほどまでは薄暗くてよく見えなかったが、先に遭遇したカイナさんの髪は金ではなく赤髪だった・・・ しかも変身していない・・・ 「むう、意外と早く全員合流するではないか!始末し損ねたわ・・・ まあよい・・・マリンとやら・・・”ミラージュ・ドライバー”はもらっていくぞよ!」 「え?」 気づいた時には私のドライバーは奪われ、変身は強制解除されてしまっていた・・・ 「ちなみに、わらわの名はレイナではないぞよ・・・ロザリアぞ!」 全員に戦慄が走った・・・ 「どういう事?」 「それはそこにいる幻想界の女王にでも聞くがよいわ!ふふふ、これでわらわは真の覚醒に近づくぞよ・・・私の悲願達成も間近・・・ふわ~」 「え?」 この緊張状態であくびをし始めるロザリア・・・ 「む・・・眠気が・・・不完全な状態ではこれが・・・わらわの・・・限界であるか・・・」 その次の瞬間にはロザリアの姿は消えていた。 そして、ロザリアが立ち去る間際に指さしたのは・・・ 「オオハシ??確かにここがあなたの故郷なのはそうだけど・・・女王って?」 「これは一度聞いてみる価値があるな・・・」 “本物”のカイナさんがそういった・・・ 「黙っていて申し訳なかったッス。ロザリアの言っていることは正しいッス。ボクは”幻想界(アガルタ)”の女王、本名は”オールドランド・ハーシー・トーヤ”ッス。」 「ええええ?」 再びビックリの私 「実はソンソナさんの話には続きが有ったッス。封印から逃れたロザリアは夢幻界の私のもとで神官として仕えたッス。彼女の能力は先ほどの話の通り・・・この世界では彼女は魔法の力を集約して使う「ミラージュ・ドライバー」「EGO・パーツ」を開発し、これらは我々の国でも歓迎されたッス。」 「まさかここでも・・・」 「そうッス。これだけでは満足しなかった彼女は開発を加速させ、その力を得た人間は幻想獣の力を得る事ができる『狂気の石(ルナティック・ストーン)』そしてそれをさらに強化した『狂気の紅玉(ルナティック・ルビー)』を生み出してしまったッス。」 「なんてやばいものを・・・」 「・・・しかし、人間を幻想獣に変えるなんて誰も受け入れることが出来なかったッス。さすがに彼女をこれ以上野放しにすることはできなかったので、幻想界の果てに追放したッス。」 「当然そうなるわな・・・」 「・・・いい判断と言いたいところだったが、詰めが甘かったアルね・・・」 「おーい、ソンソナ・・・言い過ぎだぞ~」 オオハシの今の状況を考えるとさすがにかばいたくなる・・・が・・・ 「いえ、ソンソナさんのいう通りッス。今となってはその時にロザリアを始末すべきだったッス。その後ロザリアは、復讐のため幻想獣と共にエメラルドパレスを襲撃、一時エメラルドパレスが危機に瀕したッス。ボクはその時、仲間達からわずかばかりのミラージュ・ドライバーとEGO・パーツを託され現実世界へ逃げ延びたッス・・・共に戦える現実世界の適合者を待ちながら・・・」 「そこまで壊滅的な状況だったの?」 「そうッス、その時のロザリアに対抗手段がほぼ取れなかった状態だったッス。ロザリアの事だからボクを追ってすぐにでも現実世界に襲撃してくるかと思ったッスが・・・」 「それは、おそらく私の姉ホーン・マリア・レイナが食い止めたせいだな・・・」 そこまで静かに話を聞いていたカイナさんが急に話を始める。 「え?どういうこと?」 カイナさんにそっくりで私のミラージュ・ドライバーを強奪し、ロザリアと名乗ったあの人物の事だろうか・・・ 「私の姉レイナは青き星の力を使う事が出来たため、ダイナマイト♡レイナに変身することができた・・・そう、以前話したことがあったが、初代の魔法少女は私の姉だ。彼女は”現実世界(リアランド)”と”夢想界(シャングリ=ラ)”を行き来して悪事を働いた初代バキバキ皇帝の封印に成功している・・・ 姉はその頃、本間麗菜(ほんまれいな)として星降学園に在籍していた。その後、人間界に新たな敵の気配を見つけたといって以降、消息を絶っていた。私が人間界に本間海菜(ほんまかいな)として降り立ったのは消息を絶った姉を探すためだったんだ・・・」 「そうだったの??」 今になってようやくカイナさんが現実世界にいる理由がわかるとは・・・ 「これで、ようやく探しても見つからない理由が分かったな・・・ 姉は自らの体にロザリアを封印し眠りについていたようだ・・・」 「!!!!」 自分の体に封印? 「だいぶ無茶したアルね・・・」 「でもそうしないとロザリアの暴走を食い止められなかったことを考えると・・・感謝しかないッス・・・」 確かに複数の世界をまたいで力をつけた化け物をよく封じたと思う・・・ 「おそらく姉の封印の力のせいでロザリアは完全復活できていない・・・しかし・・・自らが作ったミラージュ・ドライバーを使って完全覚醒を狙っている。」 「うう・・・ボク達が持ちこたえられてレイナさんとタイミングが合えば・・・」 「おそらく早いうちに完全にロザリアを討伐することができたかもな・・・まあ、あくまでもしも・・・の話だが・・・で、なぜか・・・こいつが・・・」 と不意に私を見るカイナさん・・・ 「え?なに?」 「魔法少女の二代目、かつプロトタイプ・ミラージュ・ドライバーの適合者・・・」 「ポテンシャルとんでもないッスね・・・」 「同感アル・・・そこは否定できないアルね・・・」 「えへへ・・天才と呼んで・・・」 「はあ・・・こいつにあらゆる世界の平和が委ねられていると思うと気が重いよな・・・」 「そ・・・そうッスね・・・」 「同感アル・・・そこは否定できないアルね・・・」 三大世界の王族がそろってため息つく・・・ 「って扱いひどくな~い?」 「お~、言ったな~反論はドライバー奪い返してからにしろ~」 「ひ~ん、チャンチ~、カイナさんがいじめるよ~」 「この状況、主戦力のマリンがこの状況ではあまり良いとは言えませんね・・・何か打開策を考えなくては・・・」 空気を読んで話の流れを変えるチャンチー、さすが私の親友! 「・・・とはいえ変身できないんじゃな~ ま~、予備のドライバーがあれば別だが・・・」 返答に困ったカイナさんが鼻を掻きながら答えた。 「ああっ!それッス!」 急に大声を上げるオオハシ 「わあ、びっくりした!」 「予備のドライバーッスよ!実はこの王城の中にあるッス!」 「え?」 「マリンさん!ミラージュ・ドライバー・ゼロを手に入れましょう!」 「おお?何それ!」 「ボクがロザリアに実験的に作らせたドライバーッス、強力過ぎて適合者がいなかったッスが、マリンさんなら使える可能性があるッス!」 「これ、間違いなくパワーアップできるやつじゃない!」 「マリン!目がキラキラになってる・・・」 「とりあえず全員でいくか!そのドライバーを探しに!」 「そうしましょう!」 かくして私達は新たなドライバー探索を行うこととなった!
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