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第18話:いわゆる真の黒幕ってやつ
ふふふ・・・そうだな・・・いや・・・私一人で十分・・・」
不適の笑みを浮かべるジェネラル・ノワール・・・
「そうか頼もしいぞえ!さすがわ我がしもべぞえ・・・」
「まだわからぬのかロザリア!先ほどの意味はこういうことだ!」
「な!」
一瞬のことで私達も唖然としてしまった。
目の前のゴルフボール大の球体に吸い込まれるロザリア
「おのれノワール!この期におよんで裏切るとは!」
「裏切るも何も最初からこれを狙っていたのだよ。ロザリア!」
「まさか!!」
額に嫌な汗が流れているのがわかった・・・
「そう・・・厄介な宿敵、ダイナマイト♡レイナに封印されたままではロザリアの力を吸収することはできなかった・・・しかし、貴様らを泳がせればいつかこうなるものだと思っていたが、見事に動いてくれたものだ・・・」
「一体なんのためだ!」
たまらずカイナさんは叫んだ!
「こういうことだ!」
その球体を手でつかみ・・・次の瞬間・・・
「な!球のみこみやがった!」
そう、ジェネラル・ノワールはその球体を丸のみしてしまったのである。・
「ははは!これで私も三世界の力を手に入れた
もはや私は『バキバキ皇帝』でも『ジェネラル・ノワール』でもない
『無限皇帝ソイルだ!』」
半分黒、半分赤に染められた甲冑に身を包んだ。
無限皇帝ソイルが目の前に現れた・・・
「でも、今の私はこの世界の力を手に入れてるのよ!くらえ!ダイヤモンド・バレット!!」
私は掌を重ねジェネラル・ノワールこと無限皇帝ソイルめがけて光の弾丸を複数浴びせた!
・・・はずだったが、直撃したはずがソイルの目の前で次々と消滅した。
「げ!効かない・・・」
焦る私・・・すると余裕たっぷりにソイルが話を始める。
「メイドの土産に教えてやろう・・・先ほど封印を解いたロザリアが使おうとしたのは魔装の力を無効にする力だ!つまり、今の貴様らは無力!」
「っ!」
このままじゃ、ダイヤモンド・マリンのすべての技が無効ってこと・・・
一気に形勢逆転されたらしい・・・
「すべて無効?果たして、ほんとにそうかな!」
「え?カイナさん?」
なんとカイナさんは魔装を解除した!
「カイナさん!危険だよ!」
「私に考えがある!まかせな!」
そういってカイナさんは印を結んだ。
「カイナよ、往生際が悪すぎるぞ・・・おとなしく降参すれば痛いを見ないというに・・・」
ゆらりと動き出す無限皇帝ソイル・・・掌に黒いエネルギー弾が生まれた!
そして放たれる瞬間・・・
「壱の秘槍“蒼腕”」
カイナさんが炎を纏った槍で突きを繰り出す!
「むだだ!ぐっ!」
素早い槍の一撃がソイルの脇腹を貫く!
おお!効いてる!
「ソイル!わざわざ教えてくれてありがとうな!それってつまりは”夢想界”の力を使えば有効っていってるようなもんじゃないか。なあ、チャンチー!」
「その通り!です!爆雷豪斬波!!」
大剣から雷を纏った斬撃を放つチャンチー
「ぐうう・・・お前ら・・・また私の野望の邪魔をするつもりか!」
腕をクロスさせ、かろうじて攻撃を防いでいたノワールの周囲に黒い霧がまとわりつく
「うわっ!」
突然のことに驚く私・・・
「な?なんだこの黒い霧は!」
え?てっきり自分自身の力と思っていたのだが・・・この黒い霧の出現はソイル自身も予想していなかったらしい・・・
「みんな!一旦離れろ!!」
危機を察知してカイナさんが叫ぶ!
即座に距離をとった私達だったが、その黒い霧はソイルをそのまま飲み込んでいった・・・
「ヴォオオオ」
不気味な唸り声をあげるソイル・・・
まさか?暴走??
その黒い霧はやがて形をなし巨大な龍の姿へと変わった
その体はどこまでも長く続く川のようであった・・・
「黒の凶星(ダークスター)から生まれし“終末の龍”、すべての世界が滅ぶ象徴アル・・・もう・・おしまいアル・・・」
「え?」
気が付くとソナの体が半透明になっていた・・・
「どういうこと・・・」
「この龍はあらゆる次元を飲み込み、世界そのものを消滅させる存在ということアル・・・」
「ソイルは『自らも世界も滅ぼす』という“禁呪”を知らずに使ってしまったというわけッス」
絶望しかないという表情をする二人
「いずれこの世界も消えるということか・・・」
その状況を見てつぶやくカイナさん・・・
「まだ、あきらめるのは速いのとちゃいうますか?」
え?レイナさん?
「マリンはん、こちらをお使いになって~」
レイナさんから懐中時計のEGOパーツを渡された。
「それは!」
「ロザリアが隠し持っていた最後のEGOパーツどす。今のマリンはんには最適のパーツどす。」
「え?なんだかよくわからないけど使わせてもらうね。」
「天高く輝く幾千万の星々の力の源よ!新たな世界へ導く力の源よ!その力をもって青い時よ戻れ!ミラージュ・フォース!チェンジ!000 ジルコニア・マリン エンシェント・フォーム改めダイナマイト♡マリン」
一体これどういう仕掛けかはわからないが、以前の魔法少女の姿になる事が出来た。
「このパーツは、一時的に昔の姿になれるようどす・・・」
「ということは・・・」
「そうどす。“アレ”も使えるどす。」
おお、これで暴走したソイルを封印することが出来そうだ!
早速私は以前のように印を結び呪文を唱える・・・
「青く輝く幾千の星たちよ!我に封じられし、最大にして最強の力を!ブルースター・レクイエム!」
呪文と共に空間に”巨大な穴”が発生し、巨大な龍を丸のみにした・・・
「よし!成功した!!」
私は、暴走したソイルを倒すことが出来たはずだったが・・・
けれども・・・
どうしよう・・・
世界の崩壊を完全に止めることが出来ず、ソナはおろかオオハシ、カイナさん、レイナさんまで姿が消えつつある・・・
「かろうじて現実世界の崩壊は止まったようだ・・・これでいいのかもしれないな・・・」
「マリンさん、色々巻き込んで悪かったッス」
「そうアル、もっと一緒にいたかったアルが・・・」
「短い間でしたが、お世話様でした・・・」
「やめてよ!そんな・・・みんな!お別れなんて!」
チャンチーに支えられながら半狂乱で泣き叫ぶ私
そして頭の中に浮かんだ呪文を言い放つ!
「青い時よ戻れ、ブルースター・リバース」
「え?」
皆がその場で凍り付いたように停止した。
そして、その呪文と共にまるで高速の逆再生のように時間が戻っていく・・・
「ぐうう・・・お前ら・・・また私の野望の邪魔をするつもりか!」
腕をクロスさせ攻撃を防いでいたノワールの周囲に黒い霧がまとわりつく
「あ、時間が戻った!急がなきゃ!」
「!!」
ノワールにまとわりつこうとする黒い霧をかき分け彼を引きずり出す。
「貴様・・・どういう風の吹き回しだ!」
「あんた、自分でも制御できないようなとてつもない”黒い凶星”の力を呼び出したみたいね・・・このままじゃあんたも乗っ取られて存在が消えるとこだったのよ!」
「ふん、ならばどうするつもりだ!」
「癪だけどあんたよりも先にこっちを封印するわ!」
「マリンはん、正しい判断どすな、実際そうするしかないどすな・・・
私も一緒にやらせてもらいますわ!」
すかさずレイナさんが声をかける。
「わかったわ、お願い!」
二人が手を重ね詠唱を始める。
「ふ・・・何をするかと思えば・・・無駄な足掻きを・・・」
私達に取り囲まれたまま成り行きを見守るソイル・・・
「蒼穹の空より青きもの 広大な海よりも青きもの 我ら青き星に誓わん 我と汝が力もて すべての愚かなる者に 等しく正義の裁きを下さん!
魔法少女”超”最終奥義“ブルースター・クリスタライズ!!”」
私とレイナさんが詠唱を終えた瞬間、蒼い光に世界が包まれた!
そしてそれと同時に黒い霧は徐々に集結しはじめた・・・
ヴォオオオオオ・・・黒い霧はまるで生きているかのように叫び声をあげた・・・
やがてそれは一つの大きな塊となり動かなくなった・・・
「マリンはん!やりました!」
「そうみたいね・・・」
思わずレイナさんとハイタッチする私。
目の前にはどす黒く不気味な水晶が転がっていた・・・
「あ~、こりゃ、厳重に保管せなあかんヤツやな・・・」
目の前には見知らぬ少年が立っていた・・・
「え?」
「おう、お疲れマリン」
初対面なはずなのに妙になれなれしい・・・
「あんたひょっとしてヤギピーの正体?」
「”正体”は語弊があるんやけど、せやな、神官のゴートや・・・ようやく呪いが解けたようやな、あんがとな・・・ってそんな悠長に話をしとる場合やない!」
「ハハハ、その通りだ!その究極にして最後の技、私以外に使えば私はもはやかなうものなし・・・」
あ、やばい!ソイルがいた!
「ほーん、その力とやら使ってみな!」
カイナさんがソイルに向かって意地悪く言う
「何を!暗黒衝撃波・・・で・・・出ない・・・」
なんとソイルはすべての力を失っていたようだ。
「あんた、すべての力の根源封印されて、戦えるわけないでしょが!」
「さーて、夢想界でじっくりと罪を償ってもらいましょか・・・」
「ぐううう、最後の最後でしくじるとは・・・」
「だからソイル、あんさんは詰めが甘いんやて!」
「ゴート!貴様にだけはいわれたくない!」
そんなやり取りを私は眺めていた。
どうやら私は最後の戦いに勝った・・・らしい・・・
「マリンさん、やったッスね!」
「マリン、すごいアル!」
「マリン、信じてたわよ!」
「マリン、お前もやるときゃやるな!」
「マリンはん、おつかれどす・・・」
皆が一斉に声をかけてきた。
「まあ、ぶっちゃけ一回やりなおしてるんだけどね!さて、みんなで帰ってラーメンでも食べますか!」
「いいっすね!」
「マリンってば、相変わらず食いしん坊ね。」
「ははは」
笑い声があたりに響きわたるさなか・・・
「あれ?まさか・・・力使いすぎた・・・」
今まで普通に立っていたのに急に力が抜け、がっくりと膝をつく私・・・
「おいっ!しっかりしろ!!」
皆に見守られながら徐々に意識が遠のくのであった・・・
あ・・・これ私・・・人生終わるパターンかしら・・・
さらば、青春の日々~
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