第2話:いわゆる双剣の剣士ってやつ

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第2話:いわゆる双剣の剣士ってやつ

校舎から飛び出し、近くにきてわかったのだが、このグリフォンってやつは案外でかい。 両足ついた状態なのに頭までの大きさはゆうに私の身長の二倍以上ある。 「ギョウエエエエ!」 鳥のようなライオンのような鳴き声を上げるグリフォン そいつが地面をひっかくと土が塊になって飛んでくる!しかも私の方に! げ!土の塊とはいえ、結構固そうに見える。 直撃したらタダでは済まなそうだ! 逃げようとしたのだが足がもつれて転んでしまった。 「うわっ!よけられない!!」 ザシュ! 「??」 もうだめかと思った瞬間に土の塊は二つに切り裂かれ、直撃を免れた! 「大丈夫ッスか?こんなところにいると危ないッスよ!」 私の目の前には両手に剣を持ち、深緑色のマントを羽織ったツインテールの人物が立っていた。 声と姿からおそらく若い女性のようだが顔がゴーグルでよく見えない・・・ 「どーして一般人が紛れ込んでいる。おかしくなイカ?」 緑色のイカ?が彼女の周りを漂っていた。 「ありがとう。あなたは?」 「ボクは魔装剣士084(ゼロハチヨン)!ボクが敵をひきつけている間に早く逃げるッス!」 「ぜろはちよん??あなたの名前は番号なの??」 口調も名前もなんか変な子だが、とりあえず安全な場所に避難することにした。 さて、その頃カイナ姫とチャンチーの二人は・・・ 「バッキーとは何度も戦ったことはありますが、またこれは勝手が違いますね・・・」 「ああ、私達の技がどこまで通用するか・・・」 チャンチー、カイナ姫ともに見慣れない敵に苦戦を強いられていた。 と、そこに援軍よろしく双剣の人物が現れた。 「ナイスッス!ボク以外に戦える人がいたのは助かるッス!」 「ん?こいつは?!」 「どうやら敵ではないようです。」 「助かる。こっちは二人がかりでも攻めあぐねいていたんだ。 私はカイナ、こっちはチャンチーだ。なんか策があれば教えてくれ!」 「ボクは084ッス。こいつの弱点はこの額に埋め込まれたルナティック・ルビーッス!」 084は剣でグリフォンの額を指し示した。そこには血のように真っ赤な水晶が埋め込まれていた。 「助かった。ゼロハチヨン・・・でいいのか?よし!チャンチー!そこを狙うぞ!」 「了解です。」 「にしても・・・まずは動きを止めなきゃな!」 カイナ姫は印を結び始めた。 「炎の蛇よ!のたうち焼き尽くせ!参の秘槍!炎蛇腕(えんじゃかいな)!!」 呪文を唱え終えた瞬間、槍の先から蒼い炎の蛇が現れ、そのままグリフォンに飛んでいく! そして縄のように巻き付いた! 「ギュアアアア!」 グリフォンは身動きが取れなくなったせいか、叫び声をあげてもがきだす。 「動きは封じたがダメージはわずかだな・・・」 「ならば私が!青雷弾(せいらいだん)!」 チャンチーが掌から放った青い球体はグリフォンの額をとらえ爆発した。 「新しい技か?チャンチーなかなかやるな・・・」 しかし・・・グリフォンの額の水晶には傷一つつかなかった・・・ 「なに?!破壊できない!!」 「見事な技だったッスけど、魔法少女の力でないと破壊できないッス! でも、お二人のおかげで隙ができたッス!」 そう、彼女の言葉通りグリフォンは、衝撃でかなりひるんでいた。 「じゃあボクもいくッスよ~、斬翔風牙(ざんしょうふうが)!」 084は剣を斜に構えるとすごい勢いで斬撃を繰り出した。 すると 「?!すごい風だ!」 一陣の風が吹きその風はグリフォンめがけて飛んでいく・・・ 「ギョエエエエ」 叫び声をあげるグリフォン! すると額から赤い水晶がきれいに剥がれ落ちた。 「今の技で、グリフォンとルビーを切り離したッス。」 「なるほど!今のはカマイタチだったのか!」 「そうッス!」 「あなたもなかなかの技の使い手!やりますね・・・」 「ありがとうッス。ですが、今のは残念ながら対処療法ッス・・・このルナティック・ルビー、完全破壊しないとこいつはまた別のヤツに寄生するッス・・・」 「そうなのか?ならば、保管して我々の監視下に置けばいいわけだな。」 「そうッスね・・・可能ならば・・・」 084は苦い顔をして答えた・・・ 「とりあえず寄生される前に保管だな・・・」 カイナ姫が水晶に近づこうとしたその刹那・・・ 「何!?消えた!」 「黒幕が気づいてルナティック・ルビーを“回収”してしまったッス。」 「黒幕・・・この件、詳しく聞かせてもらおうか・・・」 「え~っと・・・」 「084、初めて会った相手にそんなにべらべらしゃべるとまずいんでなイカ」 間を割って入る緑色のイカ 「ん?こいつも化け物の仲間か?」 とっさに槍を構えるカイナ姫 「うわわ、やめてほしいッス。ゲソリンというボクの仲間ッス。」 慌てて止めに入る084 「そしてゲソリン・・・彼女たちもグリフォンを倒すのに協力してくれた以上、敵ではないはずッス。話した方がいいッス。味方になってくれるかもしれないッス。」 「まあ、仲間になるのは。こちらに危害が及ばなければの話だがな・・・」 再び槍を構えようとするカイナ姫 「ま、まあそうッスね・・・黒幕の名前は深紅の魔女ロザリア・・・幻想界を悪しき力によって支配している魔女ッス!」 「異世界の魔法少女によって“眠ら”されていたのになぜか“目覚めて”しまったッス・・・」 「まさか!その魔法少女の名は・・・」 突然のことに驚くカイナ姫 「うろ覚えで申し訳ないッスけど、ダイナ・・・ダイナマイト何とかッス。」 「え?ダイナマイト♡マリンですか?」 とっさに話に入るチャンチー・・・ 「いや違う・・・先代のダイナマイト♡レイナだな。そもそもマリンはつい最近魔法少女になったばかりで異世界に行く余裕はないだろう。」 「確かに・・・」 「しかし、なぜお主はダイナマイト♡レイナの存在を知っているイカ?おかしいのではなイカ?」 怪訝そうに言う緑のイカ。 「まあ、簡単に言えば魔法少女はこちらの世界の存在なのでな・・・」 「?!」 驚く084とゲソリン 「どういうことッスか?つまりあなた達は“現実世界(リア=ランド)”の人間ではないって事ッスか?!」 「そうだが・・・これはどういうことなのかはむしろこっちが聞きたいぐらいだ・・・」 カイナ姫と084は話を進めれば進めるほどお互い混乱しているようだった。 「いや、二人とも話は後にしましょう!こっちに来てください!」 チャンチーに呼ばれたその先には倒されたグリフォンはおらず、一人の女性が倒れていた・・・ 「ん?この女性は?」 「グリフォンが消え去った場所に倒れていました。」 「まさか・・・」 ふと何かを思い出したように女性の顔を覗き込むカイナ姫 「畑中夏実ではなかったか・・・スーツ姿の服装からして会社員のようだしな・・・」 「どういうことです?カイナ姫・・・」 怪訝な顔をするチャンチーに対してカイナ姫は何も答えなかった。 「カイナ姫・・・すみません・・・技の限界です。」 突如グーン神官の声が空間に響き渡る。 「おい、084!もう少し聞きたいことがあるんだが・・・」 「こっちもッス、これどうなってるんッスか?」 次第に姿がぼやけはじめる084・・・ 「おーい!どこに行くッスか~!」 お互いが望まぬうちにカイナ姫達は084達と離れ離れになってしまった。 現実世界の校庭に戻ってきた郡司、海菜、千晶、魔鈴・・・とスーツ姿の女性 その時、女性は意識を取り戻した為、一旦生徒指導室に戻ることとなった。 私が隠れている間に、カイナ姫達によりグリフォンは討伐され、代わりにスーツ姿の女性が現れたらしい。 彼女の名前は大場佳代・・・この街にある満腹商事という会社の社員だそうだ。 ひとまず体調は大丈夫そうなので、今までのいきさつを確認することにした。 ・・・とはいえ気が付いたら学校の校庭ということで、最初彼女はパニック状態であった。 無意識に学校までたどり着いたところを私たちが助けたというかなり苦しい説明をして、なんとか落ち着いてもらうことに成功した。 「あなたに一体何があったんです?」 本間先輩がそう質問すると彼女は首を振りながら答えた。 「正直、ここ数日の記憶が曖昧でわからないんです。」 「そ・・・そう・・・」 これでは話の進展がなさそうだ。ここでぐんPにバトンタッチ・・・ 「申し訳ないのですが、記憶が曖昧になる前は何かおかしなことは起きませんでしたか?」 さすが!ナイスな質問! 「私はいつも通り会社に出勤して、関連会社のメイド喫茶で打ち合わせをしてから帰宅しようとしたのですが・・・そこらへんの記憶が曖昧で・・・そうそう・・・何か黒い渦のようなものを見たような気がします・・・」 「黒い渦・・・」 まさか・・・あいつが? 一抹の不安を抱く私達であった。 「すみませんが、それ以上は覚えていません。助けていただいたのはありがたいのですが、早く家に帰らせていただけないでしょうか・・・」 「そうですね。」 「あ・・・すみません。自宅に帰る前に、一度行っていただきたい場所があるのですが・・・」 「はあ・・・」 話の途中でぐんPが連続失踪事件の中の女性の一人ということに気が付いたため、とりあえず彼女はぐんPと共に警察に行くことになった。 まあ、後のことはぐんPが何とかしてくれるだろう・・・逆につかまんなきゃいいけど・・・
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