第3話:いわゆる魔法少女再びってやつ

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第3話:いわゆる魔法少女再びってやつ

翌日の放課後・・・ 「うぇ~、昨日のあれは一体何だったんだ・・・」 昨日のことを思い出しながら混乱する私 「先輩、顔暗いっすよ!」 底抜けに明るい表情の女の子が私の顔を覗き込む 「大橋クンは良いよね~悩みなさそうで。」 「心外っすね。先輩、私だって悩みぐらいありますよ。今日の晩御飯のこととか。」 「ぶっ・・・」 思わず吹いてしまった。 彼女は大橋クンこと大橋十夜(おおはしとおや)、私の美術部の後輩である。 一応、美術部所属なのだが、ダイナマイト♡マリンになってから落ち着いて部活に参加できておらず、久々に顔を出すことにしたのだ。 「てか先輩、なんか昨日校庭に化け物出たみたいじゃないっすか・・・」 「そうそう、なんかグリフォンとかいうのが・・・え?なんで知ってるの?」 「あ、やっぱり先輩も覚えてるんっすね。」 おかしい・・・ドリーム・フィールドに強制転移した時点で、学生や教員の記憶は消えているはず・・・ しかも『覚えてる』という返し・・・大橋クンは間違いなく何かを知っている。 「あなた・・・」 と私が言いかけた途端 「うわっ!なんだあれは!」 部員の一人が窓を指さすと・・・ まただ・・・窓の外に化け物がいた!しかも、そいつは空を飛んでいる・・・ よく見ると鳥人間というべきか、人の顔で体が鳥という化け物だった・・・ その瞬間、空が赤く変色した。 おそらく先日同様、ぐんP・・・いやグーン神官が結界を張ったのだろう。 「ちっ、こんなに早く次が来るとは・・・仕方ないっすね。ミラージュ・フォース!チェンジ!084!」 「あ・・・」 私は言葉を失ってしまった。 目の前にはゴーグルをつけた双剣の剣士が立っていたのだ! 「ばれちゃったッスね。そう、この前先輩助けたのはボクッス!」 「あなただったのね・・・」 先ほどの会話のやり取りは少し納得できたが・・・ 「え?てか、なんで記憶消えないんスか?ボクが変身している時に接触した人間の記憶は消えるはずなのに・・・」 なんか私が考えていたことと全く同じことを言い始める084・・・ どうやらお互いの記憶が消えずに残ってしまっているようだ。 「答えは簡単ではなイカ!彼女もミラージュ・フォースの力を使えるからでは!」 どこからともなく現れた緑色のイカがしゃべり始める。 「まさか~あるいは、別世界の力を持っているとかじゃないッスか?」 084鋭い!正解である。私は魔法少女ダイナマイト♡マリンなのだ。『元』がつくけど・・・ しかし、なんかばれると厄介なので黙っておくことにした。 「・・・というかここで立ち話していいの?」 「うわっ!しまったッス!とりあえず外に出るッス!」 イカと084は慌てて外へ飛び出していった。 「うわっと!急に飛び出さないでほしいわね!まあ、私は戦えないし、美術室で待機かしらね・・・」 ゴツ・・・ 「あれ?」 ふと見ると足元に見慣れないベルトとそのバックルに取り付けられそうな砲台を模ったパーツらしきものが転がっていた・・・ 「ひょっとして084、大事な物落としていったんじゃ?」 私がそれらを拾い上げようとした瞬間・・・ ?! ベルトが腰に勝手に巻き付いた! 「まさか、これ罠の一種?」 このまま外せずに爆発・・・という嫌な想像をしてしまった・・・ 「とにかく追いかけて外してもらおう!」 私はとりあえず084を追いかけることにした! 校舎の外では、鳥人間と084、カイナ姫、チャンチーが戦っていた。 「おい、マリン!戦えないんだからこっちに来たら危ないぞ!」 早速カイナ姫が私を見つけ、警告する。 「私は084に用事があるの!このベルト落としたでしょ?拾ったら取れなくなったんだけど!」 「え??」 驚きを隠せない084と緑イカ・・・ 「まさか!適合者がいなったプロトタイプ・ミラージュ・ドライバーが反応したッス!」 「本当に奇跡ではなイカ?」 「ん?マリンが何かに適合したのか?」 不思議がるカイナ姫 「いや、こっちの事情ッス!」 「何だ?084、こっちのって・・・」 と言いかけたところでチャンチーがそれを制し、カイナ姫に耳打ちする。 (カイナ姫・・・彼女らはまだ信用できないので慎重に様子を見ましょう。) (そうだな・・・) 「084!それよりこの空飛んでる化け物、ハーピーはどうやって倒す?」 カイナ姫は足に炎の魔法をまとわせで浮上しながら呼びかけた。 「とりあえずこの前と同じく額の赤い水晶を狙うッス!」 084も魔法の力で浮かび上がる。 「しかし、空を飛んでいるだけあって狙いづらいですね。」 チャンチーも瞬雷足の呪文で空を歩いてはいるが、空中では体制が維持しにくそうである。 各々がハーピーに戦いを挑もうとしている状態であったため、私は084に呼びかけた。 「とりあえずこのベルトは私が預かってるから!戦い終わったら渡すね~!」 そういって私が校舎に帰ろうとした瞬間! キョエエエエエ ハーピーという鳥の化け物は変な叫び声をあげて私の方に急降下して攻撃してくる!! 「な?なんで?!」 「まずいッス!」 鳥の鋭い爪がまさに私をつかもうとした瞬間! 「緑豊かな星々のその力の源よ!私に力を!ミラージュ・フォース!チェンジ!魔装少女001ダイヤモンド・マリン!ブラスター・フォーム!」 私は咄嗟にバックルにパーツをはめ込み、頭の中に浮かんだ言葉を言い放つ・・・すると、今まで見たことのない白色のコスチュームに包まれ、すんでのところで攻撃を避けることができた! 「セ・・・セーフ!」 そしてよく見ると左手にはバズーカ砲を持っていたりする・・・ ちょ、なんかダイナマイト♡マリンの時よりもぶっそーな感じが・・・ 「001ダイヤモンド・マリン・・・やっぱりそうッス!この子が『後継者』だったんッス!」 「これで魔女を倒せるんじゃなイカ!」 084と緑のイカが歓喜の声を上げるが、こちらはそれどころではない・・・ 「ちょ・・・いきなり『後継者』って何のことよ!」 私は抗議の声をあげたが、状況は変わるわけでもなく・・・ 「と・・・とりあえず目の前の化け物を何とかしてほしいッス!」 「って084!あんたの方が戦いなれてるんじゃないの?」 「いや、『後継者』じゃなきゃ倒せないッス!」 「はあ?なんでよ?!」 若干の強引な展開に若干頭が混乱する私・・・すると・・・ 「マリン、四の五の言わずにさっさと倒せばええんや!」 聞き覚えのある声が・・・ 「ヤギピー!あんたどうしてここに?」 「知るか!こっちも突然ブルーパレスから呼び出されていい迷惑や!」 突如目の前に現れたのは青い山羊・・・ 元私の相棒、夢想界のゴート神官ことヤギピーである。 元は人間だったが、バキバキ皇帝の呪いによって青い山羊に姿を変えられているのである。 「で、084とか言ったな!倒すににはどうすればええんや?」 こら!いきなり出てきて勝手に話進めるな。 「とにかく額の赤い水晶目掛けて攻撃して欲しいッス!」 「つーことや!まあ、マリンあとは任せたで!」 「いい加減な!」 相変わらずの青ヤギの強引な話の進め方に若干イラッときたが、これでやることはハッキリした。 キョエエエエエ 再び奇怪な声をあげ、ハーピーが急降下してくる。 「うわわ!」 なんとかかわしたが反撃できない! 「ここはボク達が足止めするしかないッスね!」 「そうだな!」 「では私が!」 チャンチーがすばやく印を結び魔法の一撃を放つ 「蒼天雷撃波(そうてんらいげきは)!」 急にハーピーの頭上に雷雲が現れ青い雷が直撃した! ギョエエエ ハーピーに直撃し、地面に落下した! 「今です!これでしばらく身動きがとれないはず!」 チャンチーの言う通り落下したハーピーは痺れて身動きが取れないでいる! 「マリン、チャンスやで!」 そんなこと言っても・・・ いちかばちかやってみることにした 「ルーン・チャージ!」 きゅぃぃぃん 声と共に何かがチャージされていく音がバズーカから聞こえてくる。 私はバズーカのスコープを覗き込みハーピーの額にある赤く輝く水晶にターゲットを合わせる。 「ロック・オン!行っけえええ!ダイヤモンド・ブラスター!!」 私がバズーカ砲のトリガーを引いた途端に白く輝く光線が飛び出し、ハーピーに直撃した! 「うまいッス、今のは直撃したッス!」 ギョアアアアア!! 不気味な断末魔と共に鳥人間の頭を白色の光線が貫通した! 「うわっ!なにこの出力・・・ちょっとやりすぎたかな・・・」 すさまじい勢いの光線に驚いてしまった。 そして・・・パキィィィン なにかが砕けてはじけ飛ぶ音とともにベルトに装着したものと似たようなパーツが足元にころがった・・・ 「これは!ソード・エンブレム!ルナティック・ルビーの破壊に成功したんじゃなイカ!」 「やったッス!バズーカ・エンブレムに続いてEGOパーツの2つ目を入手できたッスね!これで反撃の糸口がつかめるようになったッス!」 「へー、このパーツそんな名前があるんだ・・・」 「おい、喜んでる場合か!化け物のいたところに人が倒れていたぞ!」 エンブレムに気を取られていた私達だったが、カイナ姫とチャンチーはハーピーのいた場所から人を助けだしたようだった。 遠目から見る限りどうやら若い女性のようだ。 「そろそろ限界のようでーす。」 グーン神官の声が遠くから聞こえ・・・ と、気が付いたら美術室・・・横に大橋クンがいた・・・ 「あれ?さっきまでの戦いは?」 「先輩?どうしたんすか?」 きょとんとする大橋クン・・・ 「私?幻でも見てたのかしら?」 「何すか一体・・・」 「いや、なんでもない・・・」 まさか居眠りでもしてしまったのだろうか? 「とりあえずなんか調子悪いし、今日は私帰るわ・・・」 「そうっすか?お疲れ様っす!」 「うーん、やっぱりさっきの状況、気になるなあ・・・」 今まで体験したのは現実か幻か・・・とりあえずそのまま帰宅するのはやめ、チャンチーを探すことした。 幸いチャンチーは下校しておらず、本間先輩、ぐんPと一緒に例の部屋にいた・・・ 「事実よ・・・」 おおよその状況を話した時点でそれを理解したチャンチーが迷わず答えた。 「あの後、なぜか知らないが、伊藤と離れ離れになってしまったんだ。」 と本間先輩・・・ 「あの後、先ほどの女性は前回のようにグーン神官に送り届けてもらったんだが、やはり彼女も失踪事件の被害者だったようだ・・・」 「え?なんで立て続けにそんなことが?!」 「さあな・・・今のところさっぱりわからない・・・」 お手上げという様子の本間先輩・・・ 「ただ、共通点がありまして・・・」 突如話に加わるぐんP 「彼女はメイド喫茶のバイトのようで、帰りがけに黒い渦に巻き込まれたとか・・・」 「そう・・・失踪した二人は『メイド喫茶』と『黒い渦』この二つは共通しているんですよね。」 とチャンチーが鋭い指摘を入れる。 「なるほど・・・『メイド喫茶』かあ・・・」 私がつぶやくと・・・ 「このままじゃ埒が明かないだろうし、いっちょ調べに行ってみるか?!」 本間先輩の提案に一同うなずくのであった。
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