夏の終りに、あの場所で……

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「あれからね、あたし、お姉ちゃんの夢を何度も見た。夢の中で彼女はいつも言ってた。『何やってんの? せっかく私が麻衣と彼を出会わせてあげたのに……彼のこと幸せにしてあげなきゃダメでしょう?』ってさ……ほんと、呆れるよね。あたしにとって都合が良すぎる夢なんだからさ……」  鈴木さんは苦笑して、続けた。 「でもね、何度もそんな夢を見るうちに……お姉ちゃん、ほんとに天国でそんなふうに思っているのかな、なんてさ……これも都合が良すぎるんだけど、そう思えてきて……君に会いたくなった」 「ううっ……ぐすっ……」  ダメだ。涙が止まらない。情けないけど、どうしようもない。そんな僕の右手を、鈴木さんが握った。 「ね、織田くん。えんむすびーちの鐘、一緒に鳴らさないか?」  えんむすびーちの鐘は、恋人同士で鳴らすと恋愛が成就すると言われている。 「……ああ」涙を拭いて、僕は応えた。  やがて。  二人の新しい関係の始まりを告げる鐘の音が、残照の中に鳴り渡った。
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