夏の国の終わり

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「おお、そろそろ国境(くにざかい)が見えてくる頃だ」 「ああ、あれか。しばらく春の国ともお別れだな。ここからは夏の国だな」 「外はものすごく暑い環境だけど、この飛行機の中は適温になっているから快適なんだな」 「我々の任務は上空から夏の国の様子を観察することだったな。今の所は異常なし」 「おお、見えてきたぞ」 「ああ、あれが自由の女神か。ここはニューヨークだった所だな」 「かつてのアメリカ合衆国の繁栄の象徴だったそうだな。いや人類の、と言うべきか」 「何か聞いた話だと、その自由の女神像、春の国か秋の国に運び出すという計画があるそうだな」 「ああ自分も知ってる。どこに設置されるんだろう。そこが新しい名所となって観光客が賑わっていくんだろうな」 「ただ、間違っても地球の外の宇宙に持ち出してはいけないんだな」 「え、何で?」 「いやそう決まってるわけではないけど、そういった事はするべきではないという考えもあるというか。ほら、あの映画のラストシーン」 「ああ、そういう事か。確かにヘタに誤解させるわけにはいかないな」 「他にも、冬の国からも運び出す名所とかあるんかな」 「あるだろうな」
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