科戸の風は涼し

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 芹野が絵に向き合う姿勢や、描かれる絵には鈴村が欲しているものがあった。  それを踏みにじられて、鈴村自身も腹が立った。それに、必死に頑張っている人にこんな結果が訪れていいはずがない。  普段なら他人事で片づけるはずの鈴村だったが、今回は違った。  鈴村はすぐさま教室を出て校内で犯人の情報を集めた。  教室を転々としている最中、どこかの教室で男子生徒の笑い声が耳に入ってきた。 「あいつすぐ切れるし、マジでむかつくから、終わらしといたわ。今頃どんな顔してるかな」  男子生徒たちはどうやら、今回の芹野のことを話しているようだった。芹野への暴言を聞いた瞬間のことだ。鈴村の頭に血が昇り、気が付けばその男子生徒の顔面を殴っていた。 「今すぐ謝りに行け!!」  殴られた男子生徒は唐突な出来事に驚いていたが、一番驚いたのは鈴村自身だった。  まさか自分が感情に任せて、こんな行動をするなんて……。  鈴村の先手はよかったが、結局、その男子生徒に返り討ちにされた。  冷静になってから、鈴村は自分を顧みて、何をやってるんだろうという気持ちになった。  しかし、同時に動けてよかったとも思えた。ちゃんと怒れるじゃん。
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